このSSは精製過程において筆者の受信電波・近況により、本編の設定・キャラが著しく変形している
場合がございます。それでも構わないという寛容な方々は、どうかごゆるりと上演をお楽しみください。






暑い季節を過ぎた葉が木から落ち、息を白く染める寒波が混じりつつある海鳴の街。

だが。

ここ、高町家の長男の部屋では──

そんな季節の移り目など知ったことかと、魔界の瘴気張りに淀んだ空気が立ち込めていた。

「「「……………(汗)」」」

そんな一室の端っこでは、高町家の妹トリオ(なのは・晶・レン)が何とも言えない表情で立ち尽くしていた。
この空気を生み出している人物と、その原因を作ったであろう人物を見ながら。

そして。

その瘴気の発生源であり、そしてこの部屋の主である我らが高町恭也と言えばいつもの無表情──ではなく。
口の端をわずかに吊り上げ、目許も少しだけ緩せていた。

ただ、その双眸が放つ光だけは、他の部分と凄まじいまでの温度差を出していたが。


一方、その絶対零度アイの先に居た高町家の母・桃子は石になったかのように動けず、
大量の冷や汗と引き攣った笑顔で、息子の限りなく冷たい視線を受け止めていた。

歴戦の剣士である美沙斗ですら辞退するであろう緊張。無論、一喫茶店経営者である彼女が耐えられるはずも無く、


「あ、あのね。恭也、コレは──」


ともあれ、この状況を打開すべく──あわよくば誤魔化そうと──言葉を発しようとして、



「…………さて」



地獄の底から響いてるのではないかと思うほど低い声に、その場にいる全員の肩が跳ね上がった。


「コレ≠ヘ一体どういうことなのか……。説明してもらいたいな、高町母よ」


なおも加速的に高まっていく緊張と散らかった#゙の部屋の中で、
なのはは原因である母の姿に深く溜め息を吐き、事の発端をどこか遠い昔のことのように思い返していた。



高町家の食卓

その2 「親分襲名編」

Written byダイ




──高町家が魔界と化す20分ほど前。


「あら、なのは。おかえり〜♪」

上機嫌に愛娘の帰りを迎える高町家大黒柱・桃子。それはいつものありふれた光景である。

そんな母が『なにか』を探しているというのも、なのはにとっては普段の風景であると言えた。


──ただ。


「……おかーさん。なにやってるの?」


彼女が探し物をしているのが、兄・『恭也の部屋』である、ということ以外は……。


「見て分からない? 探し物よ、探し物♪」


なのはの問いに、後ろめたい事など何も無いと言わんばかりに堂々と胸を張る桃子。


高町家末っ子の処理能力の遥か上。そのまたさらに斜め45度をぶっ飛ぶ母の奇行に、
彼女は思わず自分と同じように部屋の入り口に立って、桃子の様子を眺めている晶とレンに問いかけた。

「え〜と……おかーさん、どーしちゃったの……?」


「いや、師匠が『ちょっと買い物に行って来る』って言うの聞いたら突然……」


「お師匠の部屋に入っていったんや……」


しばらく──と言っても数分の間だが──桃子の姿に呆然していた3人。
と、いち早く再起動した晶が何か心当たりを思い出したのかポン、と手を打つ。


「なぁ……レン。やっぱ桃子さんがしてるのって……」

「ああ……。多分お師匠の買ったっちゅう『ゲーム』を捜しとるんやないか?」


それは数日前のこと。

恭也が忍に勧められて買ったゲームをプレイし始めてからのある日。


ゲーム機を貸した晶がバラしたわけでもないのに、いつの間にやら家族全員へとその出来事は知れ渡り、
その日の夕食はもっぱらその話題が占めていた。

 
ゲームを結構やっているなのは・晶・レンとしては純粋に恭也が買ったゲームに興味を惹かれ、
フィアッセと美沙斗は多少驚きながらも、恭也の趣味が増えることを我が事のように喜んでいた。
(美由希は「恭ちゃんってゲーム知ってるんだ……」と余計なことをのたまいゲンコツを喰らった)


別段隠すつもりはなかったし、もともと妹たちに対して甘い(美由希は除く)
恭也は『知りたいのなら』、と買ったソフトについて話し出そうとした刹那。

彼は自分に向けられる視線の中に言い知れぬ不安を感じたのである。


途轍もなく楽しそうに何かを企んでいるかのような視線の主、桃子の表情から──。


ティオレや真雪と相対しているかのような不吉な既視感を覚えた恭也は、
すぐさま買ったゲームに関し全てを黙秘。


当然、桃子からは不満の声が挙がり、その日の夕食はいつもの義母と息子の
過激なコミュニケーションへと発展していったのである。


そして今日に至る。


「おかーさん……まだあきらめてなかったんだ」

「てか、もう意地の張り合いかも。これって」

「桃子ちゃんも負けず嫌いやから……」


しみじみ語りながら、視線を向ける三人。
兄の性格らしくきちんと整理整頓されている──今はやや、散らかされて──室内。
そんな息子の部屋で、タンスの引き出しや机の中などをやたらと楽しそうに物色する母親。

その姿は限りなく怪しかった。思わず他人の振りを行使したいほどに……。


「ああ〜もう、どこに隠したのかしら? あの子ったら……。
晶ちゃんとレンちゃんも探すの手伝ってよ〜! 2人とも恭也の部屋はよく入ってるでしょ?」

「そ、それは……」

「洗濯物とかを集めたり、たたんだヤツを持ってったりする時だけですって!
それにちゃんと入る時は、事前に許可もろうとりますよ!」


ちなみに。


その際、部屋に置いてある彼のシャツを手に取ちょっぴり抱きしめたり、
ほんの少しだけ着てみたりしているのは、2人だけの絶対の秘密である。

ともあれ、桃子の暴挙を止めようと三人は我に帰る。


「と、ともかくっ! やめましょ、桃子ちゃん! こ、こないなトコ、お、お師匠に見られたら……!」


「そ、そーですよ! 師匠がいつ帰って来るかもしれないのに……!」


「お、おかーさん! いくらおにーちゃんでも怒るよ絶対!」


なのはや妹分である晶・レンに多大に甘い部分がある恭也だが、怒るときはしっかりと怒る。

普段の無表情をさらに冷たくした氷の激怒とでもいうべき彼の逆鱗は、高町家で最も恐れられていた。

そんな彼のお仕置き。
それの指し示す内容を思わず想像し──ちなみに被験者モデルは美由希──身震いが走る。


しかし、そんな恐怖の未来予想図に怯える3人とは対照的に、桃子は不敵な笑みを浮かべた。


「ふっ。大丈夫、大丈夫。あの子は後30分は帰って来ないわ♪」

「な、何でそないにハッキリ言い切れるんです?」


レンから疑問が飛ぶ。すると、それを待ってました、といわんばかりに振り向き、


「今日は恭也が楽しみにしている『月刊釣りキチの友』と『盆栽のすすめ』の発売日なのよ。
だから今は本屋に行ってるはずだわ。でも、倹約家のあの子のことだから内容を読んでから買うのは明白!
よって徒歩でも片道15分かかるあの本屋さんで、さらに数十分は居るはずよ♪」


綿密に恭也の行動パターンを研究して、慎重に組んだこの作戦。
それは、決して穴など無いと彼女は信じて疑わなかった。

…………この時までは。


「「えっ? 今日発売?」」


何かに気づいたかのようにハッとする晶とレン。桃子はそんな2人の様子に訝しむ。


「そうだけど……? さんざんカレンダーでチェックしたから、間違いないわよ?」


なおも言い切る桃子に対し、二人はやや血の気の引いた顔で言った。


「えーと、その……桃子さん……」

「もっかい今日の日付、見てくれはります?」


要領を得ない二人を不思議に思いながら、桃子は壁にかかっているカレンダーに視線を向けた。


(……うん、間違いないわ。今日は確かに本の発売日ね)


改めて確信する。
日付が赤字だったから覚えやすかったのだ。

……。

………。

…………って、


「…………赤字?」


数字が赤いのだ。それはもう問答無用に。

牛にチラつかせたら、突撃間違いなしってくらいなばかりに。


「ええ〜と、今日って日曜……じゃないわよね?」


半ば理解していながらも問う彼女に対し、二人は首を振って答えた──肯定を示す縦で。

日曜以外で日付の表記が赤い日など、日本には一つしかない。すなわち──、


「今日って祝日っ?! そ、それじゃあ──!?」


「──本の発売日が祝日などと重なって連休になる場合……」


上ずる桃子の口調をさえぎるように。その冷静な声は良く通った。

特に大声というわけでも、怒気がにじみ出ているというわけでもないのに。

それでも、その声は一瞬でその場にいる全員の心臓を鷲掴みにする。


「本来の発売よりも一日か数日早く並ぶわけだが……」


こうして鬼は舞い降りた。その左手にドラッグストアのビニール袋を提げて。


「お、おにい……ちゃん……?」

「ああ、ただいま、なのは。ふむ──」


無機質な瞳が、桃子を捉える。


「ここは間違いなく俺の部屋のようだが……、急な模様替えか?

高町母?」



高町家裏の大黒柱──高町恭也のご帰宅であった。





「────ほう? では、かーさんは俺の部屋を掃除しようとしてくれてた、と?」

「そ、そーなのよ〜」


なのはが回想から帰って来た頃、事態はにらめっこから桃子が必死に恭也へ弁明を行っていた。


だが、出かける前よりも明らかに散らかっている部屋の惨状の前では、
その台詞は悲しいまでに説得力が欠けていた。


「で、でも恭也が帰って来たからもういいわよね〜。じゃ、じゃあ私はお昼ご飯の支度をしなくちゃ〜」


棒読みな台詞を吐きつつ、その場から逃れようとする桃子──
だが、そうは問屋が卸すまいと恭也が素早く母の後ろ襟をつかむ。


「──そうか。

部屋を掃除してくれたんだ。疲れただろう、かーさん。なんならマッサージでもするぞ?」

「い、いいのよそんな事しなくても……」


必死に逃げようともがく桃子。そんな彼女の姿に恭也はますます笑みを深める。


「家族なんだから遠慮するな。
コレでも整体は得意だぞ。父さんのイビリ──じゃなくて鍛錬後のケアにと学んだし、
フィリス先生にも筋が良いと褒められたものだ。我流だがよく効くぞ?
それはもう『天にも昇らんばかり』に、な……」


「ご、午後から店に行かなきゃいけないし、折角だけどマッサージなんてされたら遅刻しちゃうわ!」


必死に逃げようと口実を並べる桃子に対し、彼はポケットから携帯電話を取り出して画面を彼女に突きつける。

そこには……、


「先程松尾さんの許可が下りた。メールでな。『存分にやってくれ』だそうだ」

(ま、松っちゃ〜ん!)


心の中で相棒に悪態を吐く。


が、彼女がそんな返信をしたのはひとえに桃子が原因である。

ここ最近は、恭也の行動パターン把握のために早引けや遅刻をくり返していたのだ。
そんな店長に対し、さすがの彼女も堪忍袋の緒を盛大にぶち切ったようである。

なんにせよ、自業自得に他ならないが……。


「で、でも昼ご飯の支度を──!」


少しでも刑の執行(マッサージ)を遅らせようとなおも食い下がる桃子。だが、恭也はにべもなかった。


「ああ、それなら久々に俺が腕をふるおう。そちらの面では晶やレンに任せっぱなしだからな。
たまには作って勘を取り戻したいんでな──無論、このマッサージが終わってからだが……」


と、それまで2人の様子を傍観していたなのは達に恭也は振り向く。


「と──いうわけでお前たち。お昼はもう少し待っててくれないか?
兄は母の労働を労わなくてはいかんのでな。なに、すぐ終わる。ほんの数十分ほどの辛抱だ」


三人に向ける恭也の表情はいつになく穏やかで、昼食を待たせてしまう申し訳なさが伝わってきた。
だが、彼女たちは気付く。否、長年共に暮らしてきた『家族』だからこそ気付いてしまう。

怒る時ですら感情をハッキリと示さない彼のこめかみに、青筋が浮かんでいる事に。


「にゃ?! な、なのはは解ったデス。承知したです〜!」


「りょ、了解です!!」


「わ、わかりました〜! ご、ごゆっくりどうぞ、お師匠!」


脱兎の如く一目散に恭也の部屋から退散する3人。
それを一瞥した彼は、再び子猫のように吊られている桃子に視線を戻した。

「………………」


「え、え〜と……」


そして痛いほどの沈黙と、氷の表情を見せる息子に──彼女は言い放った。努めて可愛らしく。


「は、初めてだから、やさしくしてね♪」



──ぷちんと。

どこからかそんな音が聞こえたような気がした。


その後、彼の部屋からは『ごきっ』とか『めきょ』とか『ぺきん』等といった生々しい音と、
ひき潰されたような悲鳴が、小一時間にわたって響き続けていた……。





「きゅう〜…………」


強烈な整体にダウンしている桃子を尻目に、少々散らかった室内を見て恭也は溜め息を吐く。
そして彼はいそいそと無造作に置かれている通学カバンを開け、教科書やノートなどを取り出して空にした。

次にカバンの内側に触れ、指先でゆっくりと内布と同色の『当て布』を捲る。
するとそこに小さなファスナーが現れる。

そのファスナーをゆっくりと開けて、彼が中から取り出したのは──桃子が必死に捜していた件のゲームソフトであった。


「ふむ。やはり作っておいて正解だったな」


あごに手をやり納得する。


──高町 恭也 19歳。愛刀を仕舞う布袋も、実はお手製だったりする小器用な青年であった。


その後、夜になっても目を覚まさない桃子の代わりに、再び恭也の手料理が食卓に並ぶこととなった。
フィアッセと美沙斗は嬉しそうに、美由希はレンや晶と遜色無い兄の腕前に涙しつつ箸を進めていた。

そこにあったのはいつもの高町家の団欒であった。

桃子が居ない(疲れて眠ってるとの恭也談)のと、高町家年少トリオの表情が微妙に引き攣っていたこと以外は。



───決して兄を本気で怒らせてはいけない>氛氛




高町家妹トリオが、胸の奥にそう誓いを立てた冬の一日だった。



「──とまぁ、そんなことがあったわけだ」


「そりゃいくら恭也でも勝手に自分の部屋に入られたら流石に怒るよねー」


とある休日の昼下がり。

昼食に誘われた恭也は月村邸の広い庭の一角で、お茶のカップを片手に屋敷の主に数日前の
出来事を聞かせていた。そんな彼に対し、忍は膝に乗っている猫を撫でながら、
その光景を想像して楽しそうに笑う。


「ま、桃子さんはいいとして。
肝心のゲームのほうは? クリアしたんでしょ?」

「ああ、なかなか面白かったな。最初は色々なシステムとか数値が多くて迷ったが、
一時間ほどで慣れてからは意外とスムーズに進められた」

「へー。初めてやったんでしょ? それって結構すごいわね。
じゃあさ、ストーリーはどうだった? 特に主人公の男のヒトとか♪」


楽しそうに質問を投げかけてくる忍に恭也はプレイした記憶を思い出す。
最も記憶に残ったその『主人公』の姿を。


「『あの人』か……ゲームの人物とはいえ、あそこまで素晴らしい人は他にいないだろうな……」


現実の懐かしい人を思い返すかのようにどこか遠い目をする恭也。
どうやらその『主人公』の印象がよっぽど強かったようである。


「どんな苦境でもあきらめず、弱き人たちを護り、自らが傷つくことも厭わず
己の信じたモノのために剣を振るう……。
男の中の男とはきっとああいう人のことを言うのだろう。俺もあのようになりたいものだ……」


普段の無表情とは打って変わり、強い人に憧れる子供のようにつぶやく彼の姿を忍は微笑ましく思う。
彼女にとって見れば、今恭也が言った事はそのまま彼自身にも当てはまっているのだが……。


(そんなこと言っても、絶対否定するだろうな。恭也は)


そんな温かな気持ちを胸に置いて、忍は本題を切り出した。


「ふふ。今日はね、そんな恭也にプレゼントがあるんだ♪」

「プレゼント?」


きょとんと首を傾げる恭也。


「あ。ノエル〜、私の部屋から例の『アレ』持ってきて」

「かしこまりました」


礼儀正しく会釈して屋敷へと入っていく美人のメイドさん。そして数分後。

ノエルが両手で抱えるように持って来たのは、紺色の布に包まれ
一方を紅い細紐で括った五、六十センチほどの細長い物体だった。

「おまたせしました」

それを恭しくテーブルの上に置き、またも一礼する。


(これは……まさか……?)


見覚えがありすぎるその形に、恭也は思わず忍とノエルの顔を交互に見る。
ノエルはいつもの無表情で、忍は楽しそうに「開けて、開けて」と目が語っている。


「…………」


少し緊張しながら恭也がその細長い何かを手に取る。
硬い感触と、かすかな金属の擦れ合う音──鞘鳴りに『それ』の正体を確信する。

紐を解いてゆっくりと布をめくって現れたのは、


「やはり……」


一振りの小太刀であった。


「忍。これが……その、プレゼントなのか?」

「うん。そーだよ♪」


満面の笑顔で返す忍。

恭也は再び小太刀に視線を戻す。
重さも形も申し分無い。特に柄がすでに使い込んでいるかのようにしっくりくる。

早速今夜の鍛錬から使ってみようか、と思案する恭也が忍に礼を言おうとして、


「ふっふっふ……」


──それはそれは楽しそうに笑う彼女と目が合った。


「し、忍……?」

「ね、恭也♪ ちょっと耳貸して?」


若干の不安を覚えながらも、ジェスチャーのままそっと忍の口元に耳を差し出す。

すると。

「『これ』ね、普通にも使えるんだけど、実は──なのよ♪」

──なっ、なんだとっ?!


滅多に感情を露にしない恭也が、驚愕に顔を強張らせる。


「さくらの友達がこういうの研究してたらしくてね。ちょっと材料分けてもらって作ったんだ♪」

「ま、まさか……これが、あの……」


忍から告げられた小太刀の正体に茫然とする。
そして目が放せないまま彼女が次に言った言葉に恭也は、一も二も無くうなずくのであった。


「ね。『それ』、今から試しに使ってみない?」





「恭也さま。ご用意はよろしいでしょうか?」


月村邸の広い庭の真ん中で、いつものメイド服と黒いブレードを両腕に装備したノエルが声をかける。


「──ああ、使い方は大体理解した。あとは実践で感じをつかむといったとこか」


と、忍から手渡された『小太刀』の使用方法を記したメモ用紙をポケットにしまう。
当の忍はそんな2人から少し離れた場所に立ってこちらに手を振っていた。


恭也がもう一度使用の手順を空で確認する。見落としは無い。準備は出来た。


「それでは──」

「ああ、いつも通り。何でもありだ」


普段の装備とは異なり、一振りだけの小太刀を構える。
その切っ先にノエルを据えて、感覚を細く鋭く尖らせる。


「では──参ります」

「────っ!」


人知を超えた脚力が二つ同時に土を穿ち、その凄まじい反動と共に2つの風が駆け抜けた──。




30分後。
月村邸の庭は凄まじい事になっていた。

地面はえぐられたかのように大きな溝が何条も走り、椅子やテーブルがいくつか吹っ飛び、
塀のいくつかは縦に両断され、大穴すら開いていた場所もあった。

そんな様変わりした庭のど真ん中で──、


「はあ、はあ、はあ……」


仰向けに大の字で寝ている恭也が、汗びっしょりになりながら肩で息をしていた。
土などで身体のあちこちが汚れていたが、その表情は爽快感と達成感で晴々としていた。

と、そんな彼の顔を上から忍が覗き込む。


「いや〜、派手にやったわね〜♪」


自分の家の設備がいくつか壊れたというのに、あっけらかんと笑う。


「むう……すまん、手加減できなかった」

「いいの、いいの。あんなのすぐ直しちゃうから♪」


軽く言ってのける忍に苦笑する。

(まったく、大したものだ……)

「それで、どう? その『小太刀』。気に入ってくれた?」


恭也の右手にしっかりと握られた太刀に目をやりながら、忍が問う。


「ふむ、そうだな……」


彼女のすすめてくれたゲームと思いがけないプレゼント。
すべてを一言で感謝するには足りなかった。だから、今だけは──。


「大事にするよ。ありがとう、2人とも……」


万感の思いを込めて礼を言った。


──ボンっ!!


「ん?! や、そ、そんなことないから! ホントホント大した事してないし!」

「わ、私は恭也さまのお役に立てれば、そ、それで構いません! そ、その……お気になさらずに……」


まるで子供のように屈託無く笑う恭也の笑顔。
その凶悪なまでの可愛らしさに、二人の頬が一瞬で真っ赤に染まった。

そんな自分の笑顔の威力など全く知る由も無い恭也は、
突然あさっての方向を見ながら慌てふためく二人を不思議そうに眺めていた。



その夜。八束神社裏の林で。

なぜか落ち着かない気分のまま、美由希は真剣を用いた鍛錬の準備をしていた。

準備運動の階段ダッシュで上がった呼吸を整え、入念にストレッチをしながら横目で恭也を見る。


「…………」


同じように黙々と身体をほぐしている師範代。その表情はいつもどおり無表情に見えた。

──だが。


(なんか今夜の恭ちゃん、楽しそう……?)


伊達に恭也の妹を長年やってきたわけではない。
彼女は兄の様子がいつもとやや違う事を敏感に感じ取っていた。
しかし、さすがにその理由までは分からない。

かすかな不安を胸に残したまま、装備の点検も終わったので恭也にその旨を伝える。


そしていつもの打ち合いを始めようとして──、


「ああ。待て美由希。今夜の鍛錬は少し趣向を変えてみようと思う」


いつもと違う紺色の布袋から真新しい小太刀を取り出した恭也が、なんの脈絡も無く告げた。


「へっ?」


あまりにも唐突な提案に呆けたような表情をする美由希。

そんな彼女の返事も待たずに、恭也はポケットから取り出したメモを確認し、
すぐに折りたたんで戻しながら手順とそのキーワードを小さく復唱する。


ゆっくりと小太刀の柄を両手で捻り引き伸ばすと、同時に鍔が割れ左右に展開する。


それをゆっくりと胸の前に引き寄せ、目を瞑り大きく息を吸う。


そして──








「我が名は恭也っ! 高町、恭也っ!!


我こそは──


悪を断つ剣なりっ!!!」





彼は『それ』を解き放つ!


ごうっ!!!


雄々しき声に応え小太刀の鍔元から、銀色に輝く液体が大量に吹き出る。
しかも、それらはまるで意思があるかのように蠢動し、彼の掲げた刀身に我先にと群がっていく。


その激しい動きは、大気を震わし気流となり周囲の木々を派手に揺らす。


「ちょ──わぷっ!」


とっさに腕で防御する美由希。

やがて風が収まり、腕を下ろした美由希の目に飛び込んできたのは──。



「え──

えぇぇぇぇぇぇえっ?!?!?!」



自分の身長よりも遥かに長い鈍色の大剣を、悠然と構える恭也の姿であった。


「ちょ、ちょちょちょっと恭ちゃん! そ、その剣、いったい何なの!?」


美由希のパニックも無理は無かった。

小太刀にしか見えなかった剣が、恭也の掛け声でいきなり3メートル以上に刀身が伸び、
その身幅も30センチはありそうな両刃の大剣に変形したのだから。


また、普段ならば『師範代と呼べ。この馬鹿弟子』と怒りのチョップ(徹のオマケ付き)を
繰り出す恭也もただその剣──『参式斬艦刀・忍ちゃん限定モデル』を見つめていた。


そして。


「恭ちゃんてばっ!!」

「なんだい、美由希?」



ずどきゅんっ!!!



そこには。
クリスマスプレゼントを貰った子供のように、あふれんばかりの無邪気な笑顔の恭也がいた。


(〜〜〜〜〜っ!!)

「どうしたんだ? 大丈夫なのか?」


その後、この剣が『参式斬艦刀』という名前の小太刀であること。
特定のキーワードを叫ぶことによって超大剣に変形すること。
恭也の声そのものが声紋として登録されており、普段は普通の小太刀であることなど、
上機嫌な様子で恭也は説明した。

ところが美由希は、翠屋の女性客を端から堕とした恭也のビンテージ・キラースマイルに
すっかり魅了され、話の半分以上が耳から耳へと抜け落ちていた。

──このあとすぐ、超絶に後悔する事になるというのに。

その最中も恭也がひたすら美由希を親身に心配するという普段とまったく違う光景に、
彼女の熱がさらに失神寸前までオーバーしたのは言うまでもなかった。


そして。


「──そうか。何の怪我とかも無いんなら大丈夫だね? じゃ、今夜の鍛錬始めようか」

「う、うん♪ わ、私絶好調で大丈夫だから、早速鍛錬を………………って、鍛錬?」


優しげな恭也の笑顔と口調にトリップしていた美由希の意識が、その一言で急速に正気に戻る。


目の前に立つのは肩に超巨大剣──兄曰く『参式斬艦刀』というらしい──を担いでニコニコと微笑んでる兄。


「え、えーと……恭ちゃん。その……装備……は?」


美由希自身はいつもの真剣の小太刀二刀と、鋼糸・飛針と御神流のフル装備である。
一方恭也は両腕に鋼糸のリールと腰に飛針のホルスターを装備している。


が──。



肝心の小太刀を持っていない。



激烈に──そして猛烈に──古流剣術最強と謳われた御神宗家の血が嫌な予感と、吹き出る汗となって脳裏に走る。


「え、えーと……まさかその『斬艦刀』っていうのではやらない…………よね?」


それでも一縷の望みを託して敬愛と畏怖する師に問いかける。





後に美由希は語る。





『質問とかする前に全開の神速逃げればよかった』と……。


「はっはっは。何を言ってるんだ美由希?」

「あ、あはははは。そ、そうだよね。夜だし暗いしそんなトンデモナイ武器で鍛錬なんか──」


普段ならば絶対あり得ないくらい爽やかな義兄の姿に、乾いた笑みを返しつつ安堵の息をつこうとして、


「するに決まってじゃないか♪」


──満面の笑顔に打ち砕かれた。


それはもう高町家の女性陣や風校の全女生徒、それどころか某ソングスクール生や
某女子寮生すらも虜になってしまうんじゃないか、っていうくらい極上の微笑みで。


しかし美由希に流れる御神の血は敏感に感じ取っていた。


──その笑顔の向こう側でこちらを手招きしている死神と夜叉の格好をした恭也を。


「え……?! いや、だってそんな危ないんじゃ──」

「うん。危険だろうな〜♪ 
だから俺は始める前に何遍も美由希の調子を尋ねたじゃないか。
そしたら『絶好調だよ!』って言ってくれただろう?
だから『コレ』でやることにしたよ──すこしでも体調が悪かったら小太刀に変えたけどね♪」


嬉々とした口調で切り返す恭也に、ピシ──とさっきとは別の原因で美由希の時が凍結する。


「うぅ……私のバカ……」


ほんの数分前までの自分を罵倒し、目の幅涙を滝の如く流すその姿は妙に哀愁を漂わせていた。




「じゃあ──始めようか?


そんな美由希を綺麗に無視して恭也の纏う雰囲気がスッ、と激変する。


その重量をまるで感じないかのように軽やかに斬艦刀を構えなおす。
そんな彼の双眸は、先程までの子供のようにキラキラと輝いていたものではなく、
獲物を前にした肉食獣がするような目つきを髣髴とさせた。


何よりもその闘る気──否、殺る気がいつもより200%増しぐらいみなぎっていた。


「え?! いや、ちょ、ちょっとタンマ! 恭ちゃんまだ心の準備がー!!」


「黙れッ!」


「ひっ──!!」


「そして、聞けッ!」


「はう〜っ!?!?」




「我が名は恭也! 不破、恭也!

我こそは──

神を断つ剣なりッ!!」





「さっきと違っ?! しかも必殺の不破モード〜〜〜〜?!?!」



「届けっ、斬艦刀! 星霜の彼方までっ!!

チェェストオォォォォォォオッ!!!」





「嫌ああぁぁぁぁあああっっ!?!?!」



「我に断てぬものなしッ!!!」






──翌日。
八束神社裏の木々の数本が、まるで局地的な台風にでも遭ったかのように薙ぎ倒されているのが発見され、
管理人代理の巫女さんと彼女の親友である子狐が首を傾げたのは、余談である。



「うぅ……痛ひ……」


深夜の特別鍛錬が始まって数日後。休日の朝。

美由希はリビングのテーブルに突っ伏し、唸っていた。

何とか気合で起床したは良いが連日の筋肉痛と疲労に加え、とどめとばかりに新鍛錬。
さすがの美由希も悪夢のトリプルパンチによってリビングで力尽きていた。


「うう……恭ちゃんの老人趣味、恭ちゃんの恋愛方向音痴、恭ちゃんの……」


本人が聞けば鉄拳が飛んでくるであろう内容を、ここぞとばかりに愚痴る。

──と。


「はうっ?! な、なんでこんなタイミングで増援が来るんだよ〜!!」


「アホか!? こないなMAPで、そないにあっさり終わるわけないやろっ!」


何やら悲喜交々に賑わう声が居間から届いてくる。

「なんだろ?」と思い、動こうとするが筋肉痛で突っ張った身体が悲鳴を上げる。

それでも心の中で気合の声をあげながら、居間を覗き込んだ彼女が見たものは、
テレビにゲーム機を繋いで遊んでいる、なのは・晶・レンの三人組の姿だった。

正確には、晶がプレイしているのをなのはとレンが見ている状態だ。


「あ。おねえちゃん、おはよう♪」

「うん、おはよ。なんか賑やかだけど、なんのゲームやってるの?」


問いながらひょいと、画面の中を覗き込む。
そこには大きなタワーのような建物を中心とした、広い海上都市のような地形が写っている。

そして、斜め上から見下ろされているその海上都市のいたるところで、
二頭身ほどのSD化した多彩なロボットたちがちょこまかと動き回っていた。


「ロボットの駒を動かして敵を倒したり、目的地に急いだりするゲームなんだ。おにいちゃんに借りたの」

「へー……ってことは、恭ちゃんが買ったゲームってこれのことなの?」


再び画面を見やる。
今は晶のターンが終わったのか、コンピュータ側の赤いロボットたちが続々と進軍する。

そして、そのうちの一体が晶の操作していたロボットをターゲットに捉え、
画面が一対一の戦闘画面に切り替わり──。


ちゅどーんっ!!


敵の攻撃があっさりとそのロボットを撃墜した。


「うう……お、俺の鉄の城が……」


がっくりと晶が突っ伏す。どーやらかなりのお気に入りだったようである。

そんな彼女をフッと鼻で笑う者がいた。レンである。


「ふっ。これやから猪突猛進なおサルは……。
いくら装甲が硬ぉても、HP減ったままじゃ意味無いやろ。もーちょい戦術を考え〜や」


と、コントローラーを代わりに握る。どーやらそういう順番交代制らしい。


「難しそうだけど、ちょっとおもしろそう……」

ぽつりとそう漏らす美由希。

「でしょ? あとね、おねえちゃん。実はこのゲームにはすごい人がいるんだよ!」

「『すごい人』?」

なのはが、どこかわくわくした表情で言う。するとレンと晶もそれに同意する。


「ええ、そうです。それはもう……」

「うんうん確かに。ありゃまさしく『すごい』の一言に尽きますわ」

「って、どんな人なの?」


すると、3人は声を揃えて言った。


「「「(おにーちゃん、師匠、お師匠)、にそっくり(なの、です、なんです)!」」」


「へ? 恭ちゃんに……?」


その内容に思わずポカンとする


「う〜んと、この人なんだけどね……」


なのはがレンからコントローラーを受け取って呼び出したのは、
鎧武者のような機体に乗る眼光の鋭い銀髪の男性だった。


「この人が?」


うなずく3人。


「う〜ん……どういうところが似てるの?」


「えーと、さっき砂糖とミルクたっぷりのコーヒーで気分悪くなってたよ」

「無口で無表情なんですけど細かい気配りができて、しかも剣の腕は達人で……」

「女の人からの好意にかなり鈍いんですけど、
子供にはやさしくてメチャクチャ懐かれとってました」


その銀髪の男性と恭也の相似点を次々と挙げていくなのは達。

『あの』若年寄といっても過言ではない兄に、そこまで似ているというこのキャラクター。
何より盆栽と釣りだけが趣味の彼がハマったというゲーム。

並々ならぬ興味を惹かれ、筋肉痛に悶絶する節々を叱咤しながら再び画面を覗き込む。
すると、今まさにこの人物の乗っている鎧武者型の機体を敵ロボットが捉えた。

先程と同じく、戦闘デモに切り替わった画面を美由希はわくわくしながら見入っていた──。


そして──



「ひあああああああっ〜〜〜!?!?」



鎧武者の必殺の一撃が炸裂した瞬間。

先程まで悩まされていた筋肉痛もなんのその。
恐怖の叫びと共に神速級のスピードで美由希は居間を飛び出していった。


その場に唖然とした家族たちを残して。


「お、おねーちゃん……?」

「美由希ちゃん……な、何かあったのやろか?」

「さ、さあ……?」


そんな中、画面に写る『超大剣』を構えた鎧武者に乗る銀髪の男の勝ち名乗りだけが響き渡っていた……。




■オマケ■
数日後、風校3年G組教室内で。

「忍。次はこれなんだが……」

「毎度♪ どれどれ……? ふむふむ、ああ! この機体のやつ? なるほどね〜」

「『親分』の後に始めたのが、『彼』のシナリオでな。最初に見たときから是非とも使ってみたいとな」

「オッケーよ。ノエルの改装も終わったから、すぐに作り始めるわ。数日程度でいいわよ」

「礼を言う。たてつづけに頼んでおいてなんだが……」

「ふふふ。いいの、ちゃんと見返り貰ってるんだから。『週末』忘れないでよ♪」

「ああ。ノエルのパーツを買いに行った後、駅前の映画館前だったな。必ず行こう。ではな」

「それじゃ、楽しみにしててね〜♪」


そんな会話が交わされていた。

──そして同時刻。

1年生の某教室で身体のあちこちに包帯を巻いたとある女子生徒がしくしく泣きながら、

ひたすら「恭ちゃん怖い……恭ちゃん恐い……恭ちゃんコワイ……」

とくり返している姿が目撃されたのを記しておく。





数日後、深夜の八束神社にて──。


「いやあああああああっ!!」


そこには、木々の間を縫い、あるいは枝を切り裂きながら迫ってくる
『それ』をマジ泣きで必死に避ける美由希の姿があった。


そんな彼女から少し離れ、腰に小太刀形態の斬艦刀を差している恭也は容赦なく檄を飛ばす。


「甘いッ! 甘いぞ美由希!!
そんな体たらくでは到底雲耀の極致まで、ましてや神を断つ剣にはなれんぞっ!」

「知らないよおおおおおおおっ!!」

「ほう……どうやら律儀にツッコミできる程度には余力があるようだな……。
ふむ、ならばもう一枚増やすとしよう。

往くぞ!!」


「やああめえてえええええええっ!!(泣)」



無視。



「──っ!」

深呼吸。

そして今、美由希が必死に小太刀で弾き返しながらも追尾してくる
それ≠ニ同形の二枚目を布袋から取り出し、再び構える。


腿を引き上げ腕を引き、緊張した全身のバネ運動が集約し、ムチのようにしなる腕が前に押し出され、
余すところの無い全運動エネルギーが、1分のスキも無い完璧なフォームと共に奇跡の加速を実現する。

そして──。




「ファング・スラッシャーっ!!

シュウトオォォォォオォォォッ!!」





それ≠アと──『ファング・スラッシャー』──を渾身の力で投げ飛ばした。


放たれた紫色のファング・スラッシャーが十字に展開し、
四方から吹き出る光刃と火花が闇夜の虚空を切り裂き、林の木々をこれでもか!
と言わんばかりにスパスパと切り倒しながら美由希を追いかけていった。



──その場に、限りなく爽快感と達成感に満ちた恭也を残して。



「恭ちゃんのバカぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」




何はともあれ、今日も高町家の人々は概ね平和であることには間違いなかった。

ある一部の人を除いて。


めでたしめでたし……。


「めでたくないよっ!!!」


<終わっとけ♪>




(……こそこそ……キョロキョロ!)

???「なにをしていらっしゃるのですか? あなたは」

(ぎくぅっ!?) き、君は【ダイオリジナルキャラ02】略して【DOC−02】の
某胃袋は宇宙だテイスト&盲目な先輩がモデルのお嬢様【朝霧 遙奈】っち!!
(ちなみにイメージCVは北都南さん)

遙奈「なんですか、そのモビルスーツみたいな形式番号は……?
しかもいきなりネタ晴らしですか……はぁ。まあ、それはともかく……」

は、はい? な、なんでせう?(滝汗)

遙奈「このシリーズ。前回のを氷瀬さんに贈ったのはいつでしたか?」

え、えーと……今年始めのほうです。

遙奈「正解です。では──今はいつでしょう♪」

じゅ、12月です…………。

遙奈「はい♪ それも正解です。では──その間は何をしてましたか?」

────ぎっくぅぅぅぅっ!?

遙奈「(にこにこ)♪」

(このプレッシャー、ニ●ータイプかっ!?)

遙奈「ガンダムネタでボケてもダメです。『OG2』と『第3次α』にかまけてましたね?」

い、いや……そ、それはその……(あせあせ!)

遙奈「この後、私はカズナとデートなんです。というわけで急ぎます。
あなたは虚空の彼方でみっちり反省して来てくださいね♪」

え゛……まだ、ネタ裏とか次回作の宣伝とかしてないんすけどっ?!

遙奈「それは私がやっておきますのでご安心を。
あなたは国語辞典を枕にボキャブラリーの勉強をしてきて下さいね♪」

ひっ、ひぃっ!

遙奈「──還れ虚無の彼方に! この無限光の中から──! 奥義・九重桜花神魔封滅陣!」

ひぃ〜〜〜あぁ〜〜〜!(すぽんっ!)

遙奈「……というわけでして。恭也くんが買ったのは、
バンプレストの名作【第2次スーパーロボット大戦α】でした。
その主人公の1人『ゼンガー=ゾンボルト』さんが、
恭也くんに似ていたのがこの話を書くきっかけですね。

彼がどんな人か、詳しくお知りになられたい方は上記のソフトの他、
その続編である『第3次スーパーロボット大戦〜終焉の銀河へ〜』、
ゲームボーイアドバンス『スーパーロボット大戦〜オリジナルジェネレーション』を
プレイしてみてください。こちらの恭也くんのように意外とハマるかも知れませんよ?

さて次回はnamcoのとあるRPGとのクロスか、明治剣客マンガにハマる予定です。
虚空の彼方で年内には書き上げるつもりらしいので、温かい目でお待ちくださいませ。
それでは皆様。またこの幕裏でお会いしましょう♪」

(デートの待ち合わせ場所に上機嫌で小走りに去っていく遙奈)

???「行っちゃったね……遙奈」

???「カズくんとデート…………いいなぁ(ぼそ)」

???「年内にあたしたちの出番があるのかも重要だけど……。
あたしだってアイツとしたいわよ。デート……」

???「それも全部ダイさん次第だもん。気長に待とう。ね?」

???「それしかないか……」

???「じゃ、帰ろう♪」

(去っていく二人の影)



スパロボかぁ〜。
美姫 「なるほどね〜。恭也にこれを進めた忍も、似ているからかしらね」
かもな。
にしても、いい味だしてたな、恭也。
美姫 「本当に。はっちゃけてたわね」
まあ、美由希はちょっと災難だったけれど。
美姫 「あははは〜。ダイさん、投稿ありがと〜」
それでは、今回はこの辺で。
美姫 「それじゃ〜ね〜」



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