鳥居家でひと時を無事に過ごした恭也。

しかし、娘&妹LOVEな人たちのいるお宅で果たして無事に居られるのか?

でわでわ〜〜


 

 

薔薇に愛されし者

 

『恭也と(で?)遊ぼう♪』

 

 

いつも通りに朝を迎えるはずであった恭也であったが、やはりと言うかなんと言うか、今回もまた薔薇様によって起きることが出来なかった。

 

「まだ寝る〜〜」

 

そう言って恭也のことを抱きしめる江利子

何とかして布団から恭也は抜け出したい所であったが、そんなことが出来るはずも無く二度寝をしてしまった。

 

6:50

いつもと同じ起床時間になり、江利子はベッドから出ると、恭也もまたベッドから出たが中途半端に二度寝をしたせいか恭也は眠たそうである。

 

「あれ、恭也くんまだ眠い?

 

「眠いです〜〜〜」

 

眠たそうな恭也を他所に江利子は素早く制服に着替えた。

一方の恭也はというと眠たいのか頭がふらふらしておりなんだか危なっかしい。

そんな恭也のことが心配になった江利子は恭也の手を引いて朝食を取るためにリビングへと向かった。

 

「おはようございます、お父様」

 

「ん、おはよう江利ちゃん♪」

 

恭也の手を引きながら江利子は、先にリビングにいる両親に挨拶をした後恭也の顔を洗ってあげるために来たのだが……

 

「こ、このクソガキ〜〜。何、江利ちゃんの手を握ってるんだ!!!

 

やはりと言うか何と言うか…

江利子の手を握っている恭也を見て暴走し始めた江利子父。正確には江利子が恭也の手を握っていると思うのだが、そんなことはこのお父さんには関係ないようである。

恭也の元へと駆け寄り、張り手の一つでもしようとしたのだろう。

しかし……

 

『ドスン』

 

かなりの音を立てながら、江利子父の目の前にいきなり何かが現れた。

そう菜箸が、突如壁に突き刺さったのである。

 

「あらあらあら〜〜。何をしようとしたのかしら〜〜。お父さん? あんまり音を立てて走るものだから驚いて箸を滑らせたじゃない」

 

ものすごく間延びしたような声で告げるは、江利子母。、

しかし、彼女の表情は声とは裏腹に穏やかなものではなかった。

 

微笑みは微笑みでも絶対零度ように冷たく、背筋の凍るようなものであった。

殺気を当てられているせいか、江利子父は一歩も動けないで居た。

 

「もう一度言うわね。恭也くんに何かしてみなさい……捻り潰すわよ」

 

そう告げた後、首を猛烈な勢いで縦に振る父を確認した後で、壁に突き刺さった菜箸を『ズボッ』という音を立てながら引き抜いた。

 

 

「さ、恭也くんは顔を洗ってきなさい。もうすぐ朝食にしますからね」

 

「ふぁ〜〜い」

 

眠たそうに目を擦っている恭也のことを、愛しそうに撫でながら江利子母は調理に戻っていった。

 

 

それから、江利子、母、そして恭也の三人は美味しく朝食を取っていた。

しかし、男四人組はどうしたことか俯きながら、黙々と食事に勤しんでいた。

恭也のことを見ると切れそうになるのも原因の一つであるが、それより何より母の邪魔をすると殺されそうであったからであった。

それは、もう蛇に睨まれた蛙のごとく震えながらの食事であった。

彼らにとってはまさに地獄の食卓であったであろう……。

 

 

「それじゃあ、学校に行くためにも恭也くんもお着替えしないとね♪

 

そういうと、江利子母はおそらく昨日のうちに選んでおいたのであろう、服を取り出し恭也の着せ替えを始めた。

もちろん、江利子がこれを黙って見ているはずも無くそれに参加するのであった。

一方の恭也はと言うと、逆らうことが出来なかったのか、そのまま着せ替えられた。

 

「うん、やっぱり可愛いわ〜〜。こんな子が欲しいわね……」

 

恭也のことを見詰めながらそんなことを呟く母

恭也は顔を真っ赤にしておりその姿に萌えたのか、恭也のことをハグしめ始めた

 

もちろんそんなことをしていると学校へ行かなければならない時間になって……

 

 

「ゴメン母さん。もう、学校行かないといけないから」

 

そう言いながら江利子はかばんを片手に恭也のことを引き連れて玄関先まで行く

そんな江利子にお弁当を渡しながら……

 

「恭也くん、また遊びに来なさいね? あなたならいつでも歓迎するからね……」

 

別れを惜しむかのようにして恭也の頬に口付けた後、二人の背を見送った。

 

 

 

 

 

「今日の体育は先生がお見えにならないそうだから、この前のバレーの続きをしなさいとのことです……。とにかく怪我の無いよう気を付けるよう言われました」

 

クラス委員であろうか、一人の女子生徒が声を出してそのようなことを言ってきた。

そして、今日も今日とて、リリアン女学園のアイドルと化した恭也は色々と可愛がられていた。

 

しかし、やはり限度と言うものをわきまえているおかげか、恭也が嫌がることをする人物は一人としていなかった。

そんな生徒たちの間で一番とり行われたのは、恭也を膝に乗せ写真を撮ることであったが、別に恭也は遊んでもらっていると思ったのか、ニコニコとしており写真写りは最高であったとか

 

もちろん、このような美味しいことが出来るのは情報が他に行かないおかげであるのは周知の事実であったが……。

 

「今の聞いた? 今日は、恭也くんも体育に参加できるはずよ♪

 

イスに座らせた恭也の髪を小さな櫛で梳きながらそんなことを囁きかけた。

 

「にょ? 僕も参加して良いですか?」

 

「もちろん。恭也くんのことはみんな好きだからね♪

 

『ギュッ』と恭也の体を後ろから江利子は抱きしめながら居た。

もちろん、後に続いて恭也のことを教室に居た全員が抱きしめたりしたのは当たり前な話。

 

 

 

それから、恭也を引き連れて更衣室に向かうと皆それぞれに着替えを始めた。

そんな空間で囲まれていた恭也はと言うと、真っ赤に顔を染め恥ずかしそうにしていた。

 

「何々、恭也くん恥ずかしい?

 

「はい……」

 

うつむき加減でいる恭也のことを江利子は面白そうに眺めながらそっと耳に顔を寄せ『フッ』っと息を吹きかけた。

もちろんそんなことをされると『ビクッ』っと反応してしまい顔を上げるのであった。

 

「可愛い〜〜。別にそんなに恥ずかしがること無いでしょ?一緒に着替えるくらい」

 

恭也の頬を両手で軽く挟み込むようにして江利子はそう語りかけた。

 

「あの、でも、そのですね……女の人の肌を見るのは……その〜〜」

 

恥ずかしがって呂律の回らない恭也のことをからかいながら江利子は楽しんでいた。

それから、皆が着替えを終えると恭也も更衣室を出ることが出来た。

ちなみに恭也は着替えては居ない。

 

では、何故恭也が更衣室を一足先に出ることが出来なかったかと言うと、生徒たちに囲まれていたがために身動きが取れなかったためである。

遊んでもらっていると言うより、弄ばれている感のある恭也。

 

「よ、江利子♪」

 

江利子が恭也の手をつないだ状態で体育館に行くとその中で待ち構えていたのは、なんと白薔薇様。

 

体育が合同で行われるために聖が居てもおかしくは無い。そして、もう一人忘れてならないのが……

 

「あら聖、珍しくやる気満々ね?

 

「もちろん、当たり前じゃん。恭也くんと遊ぶために来たんだから」

 

そう言いながら、聖と蓉子は一緒に恭也に近づくために江利子の元へと歩き出した。

 

「聖お姉さん、こんにちは

蓉子お姉さん、こんにちは」

 

ペコリと頭を下げる恭也。

その姿が可愛くてたまらなかったのか、聖と蓉子は思わず抱きしめた。

 

「う〜〜ん、やっぱ可愛い〜〜♪♪ ねえ恭也くん、私の弟になってよ〜〜」

 

「あらダメよ聖。この間そのことについてちゃんと確認したでしょ? それに聖ばかりズルイわよ」

 

「にゃう、苦しいです」

 

二人に突然抱きつかれたせいか、恭也は顔を真っ赤にしていた。

ちょっと息苦しかったのか、そんなことを二人に言う。もちろん二人は抱きしめる力を緩めはしたが離しはしなかった。

 

「ま、聖は分かるとして。あの蓉子がココまで壊れるなんてね〜〜。やっぱ恭也くんは面白いわ」

 

そんなことを呟きながらも二人が恭也に抱きついているのを面白そうにして見守っていた。

 

 

 

「さてっと、準備運動もしたし今日やるのはバレーだよね?

 

体育館の中を軽く走ってから、準備運動を終えた聖はそんなことを呟いた。

 

「ええ、そうよ。今日はバレー……。そう言えば恭也くんはバレーしたことある?

 

蓉子が聖の独り言に一言突込みを入れてから、気になったのか恭也に質問をした。

もちろん恭也はバレーなんてしたことが無かった。

 

「あの、ありません」

 

「そっか。じゃあ、いきなり一緒に試合とかは無理だね」

 

ちょっとがっかりしたような声で聖がそんな一言を漏らした。

しかし、江利子はその言葉を聞いて逆に嬉しそうな表情をしながら恭也に近づき、そして……。

 

「よ〜〜し、それじゃあお姉さんが基本的なことを教えてあげるからね♪

覚えたらラリーでもして、まずは遊ぼう」

 

そういうと江利子は恭也の体に近づきレシーブとトスの形を教えた。

もちろん、その姿は手取り足取り教えているといった表現が一番ピッタリと当てはまった。

 

しかし、そんな様子を見ていて黙っているはずが無いのが白薔薇様と紅薔薇様である。

 

「ちょ、江利子ズルイ!!! 恭也くん、こっちに来なさい。教えてあげるからね」

 

「江利子……それは卑怯よ。恭也くん一緒に遊びながら覚えましょう」

 

こうして三人に囲まれながらバレーの一通りの形を覚えたのであった。

もちろん他の生徒たちもそこ場に加わりたかったのだが、余りに三薔薇が激しく争っていたので入れないで居なかった。

 

 

 

 

「にゃう……。あの、そろそろバレーをしてみたいんですけど」

 

そんなことを恭也が言うと、蓉子たちはすぐさま反応をした。

 

「もちろん、さあやりましょう」

 

「もっちろん、やるに決まってるでしょ?」

 

「さあさあ、やりましょうか。始めにラリーをしながらボールの扱い方に慣れようね♪

 

 

 

それから、始まった三薔薇と恭也によるラリー。

はっきり言って、始めのうち恭也はポロポロとボールを受けきれないで落としていたが…。

次第に慣れてくると綺麗にボールと打ち上げることができるようになっていた。

 

そして、いつの間にか白熱したバトルになっていた……。

 

「聖。そろそろあなた体が動かないんじゃない? 余り運動して無いものね……」

 

「その言葉そっくりそのまま蓉子に返してあげる。

江利子はどうなのよ? キレが悪くなってるように見えるけど?

 

「あらあら、白薔薇様に紅薔薇様。二人の方が私より辛そうに見えますけど?

 

もの凄いいがみ合いながらのラリーバトル。

三人ともかなり息が上がりながらも一向にやめる気配が無い。

それは何故か?

聖が提案したある一つのことが原因であった。

『恭也くん、一番最後まで残ったお姉さんにキスしてくれない?

とのことらしい。

もちろん三人に懐ききった恭也がこの申し出を拒絶することは無く、三人の間でバトルが勃発したのであった。

 

一方の恭也はと言うと、三人が息を切らしながらラリーをしているなか一人だけご機嫌に遊んでいた。三人がもの凄いバトルをしているのに完全にボールの扱いに慣れている恭也は余裕でボールを裁き三人と共に居た。

もちろん、三人は恭也をかけた戦いであったが、恭也は一緒に遊んでいてくれていると思ったので嬉しそうな表情をしていた。

 

 

結局勝ったのは聖であったが、恭也は三人の頬にそれぞれ小さくキスをして事なきを終えた。もちろん恭也は顔を真っ赤にしていたのは周知の事実で。

 

「はぁはぁ……。ありがとうね、恭也くん」

 

「はぁはぁはぁ……。やっぱり可愛いね恭也くんは」

 

蓉子と江利子はそれぞれ、頬にキスをしてくれた恭也の頬か髪を撫でてお礼をしていたが、聖だけは頬を膨らまして不機嫌であった。

 

「何で二人にもするかな〜〜。恭也くんのキスをもらえるのは私だけなんだよ? そういう悪いことをする子はこうだ!!

 

プンプンといった怒った表情をしながら、聖は汗まみれの状態で恭也のことを後ろから抱きしめて、横から強引に唇にキスをした。

そのキスは激しく、見るからに恭也の口内に舌が侵入しているのは明らかであった。

 

『ポンッ』

 

小気味よい音をさせながら恭也の唇から離れる聖

 

「ん〜〜。ご馳走様♪

 

にこやかな表情をしながら聖はそんなことを言った。

 

一方、この光景を見ていた蓉子と江利子は顔を真っ赤にしながら口をパクパクしていたが、落ち着きを取り戻すと聖に講義しようとしたが……

 

『パタン』

 

綺麗に恭也が背中から倒れていった。

余りに刺激が強すぎたのか、恭也の顔は真っ赤になっておりカチカチに固まった状態であった。

 

「ちょ、恭也くん?! 大丈夫!!

 

「ちょ、聖。あなたがこんなことするから!!

 

「いや、ゴメンゴメン。まさか倒れるとは思わなかった。

う〜〜ん、やっぱり刺激が強すぎたか……」

 

そんな口論をしながらも互いに恭也の体を持ち上げ、保健室に連れて行こうとする三人。

………まあ、保健室に連れて行くと保険医の先生が居なかったのでこれ幸いとしてベッドに恭也の体を寝かせた。

 

 

……………それから30分後

 

「むぅ……」

 

無事生還、もとい。目を覚ました恭也。

目がボーっと何かを見つめているようで焦点が合っていない様子で

 

「良かった……。恭也くん倒れたの覚えてる?

 

「お目覚めだね、王子様♪

 

「お、起きた起きた? 良かった〜〜。ゴメンね恭也くん」

 

あれから恭也を保健室に運び込んだ三人は誰一人として教室に戻ることなく保健室にて恭也が目を覚ますのを待っていた。

まあ、言ってしまえば二人っきりになった時におかしなことをするのでは、と三人が三人とも疑っていたためでもあったのだが…

 

「おはようございます……。えっと、僕何かしました?

 

不安げに自分が何かとんでもない事を仕出かしたのではないかと、思い恭也は三人に尋ねた。

 

「あら、何も恭也くんは悪いことはして無いわ。したのは聖だもの」

 

「そうよね、こんな幼い子にあんなことするんだものね」

 

「悪かったって。こうして反省してるじゃん」

 

三人がそんなことを言っていたが恭也は何のことだか分からず『?』を浮かべていた。

そんな様子に気が付いたのか、あえてそのことにはそれ以上触れなかった。

 

 

 

 

 

そんなこんなで放課後

 

「それじゃあ恭也くんは、今日私のうちでお泊りだからね」

 

薔薇の館にて蓉子は嬉しそうに頬を緩めて恭也にそう告げていた。

もちろん恭也の反応はと言うと元気よく返事をし、笑顔一杯であったが、蓉子が恭也のことを連れ帰る前に聖がとある提案をした。

 

「ちょっと待って蓉子。恭也くんの子と連れ帰る前にちょっと聞いてくれる?」

 

真剣な面持ちでそういってくる聖を蓉子はなんだろうと思い、とりあえずは聴いてみた。

 

「何? 聖。何かあった?」

 

「明日って土曜日じゃない。だからね、みんなで遊びに行かない?

ボーリングしたり、カラオケ行ったり食事したりしてね」

 

聖曰く、この面子で全員で遊びに行くのも良いのではないかとのことだが、もちろん全員がこの意見に関して興味を抱いた。

 

「あら、面白そうね。この面子で出かけたことって無いから丁度良いんじゃない?

 

「そうね、でも行き当たりばったりの計画は嫌ね。どこか当てはあるの?

 

「もっち♪ ここのカラオケは一応抑えてあるし、ボーリングも大丈夫だ。後は食事ぐらいなものだけど、外食も良いし誰かのうちの台所を借りて作るってのも良くない?

 

などなどとかなり会話が盛り上がっているようで……

 

一方の恭也はと言うと、なんだかお疲れのようでイスに寄りかかりネムネムしている。

そんな姿が可愛かったのか、三薔薇を除いたつぼみとその妹たちは恭也の頬を軽く指でつんつんしたり、髪の毛を撫でてやったりしていた。

すると恭也は気持ちが良かったのか子猫のようにスリスリとしていたので可愛くて可愛くて仕方なかった………。

 

「可愛いわね……。今なら、この子のこと弟にしたいと思うわね」

 

「あれ、祥子もそう思うんだ? 確かに可愛いものね」

 

「う〜〜ん、でもどうして恭也くんのお父様は居なくなったんだろう?

そのあたりが気になるわね……」

 

「まあまあ、由乃さん」

 

「………可愛い♪」

 

それぞれが思い思いに恭也とのひと時のことを思いながら薔薇の館にて過ごしていた。

 

 

 


〜あとがき〜〜

 

恭也にすっかりメロメロの山百合会の皆さん

さあ、どうしたのもか……

 

次回はいよいよ蓉子様のお宅へゴーです。

今度こそは変化のある様子をかけると言いのだが

 

でわでわ〜〜


タカさん、ありがとう!

美姫 「あ〜り〜が〜と〜〜〜〜〜」

……………。

美姫 「次は一体どんな恭也くんが見れるのかしら。もう楽しみで楽しみで」

初っ端から壊れている美姫は置いておいて、次は蓉子さま宅。
ぐわぁぁぁーー。羨ましいぞ〜!蓉子さまと一緒にあんな事やこんな事を…。

美姫 「浩、うるさい!」

がっ!

美姫 「あ、ちょっと強すぎたかしら。まさか泡まで吹いて悶絶するなんて……。
    まあ良いか、浩だし。じゃあ、タカさん次回も楽しみにしてるわ♪じゃ〜ね〜」





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