「…………し……信一……なのか?」
震える声で、和人は訊ねた。
「……久しぶりだな、和人」
万人を魅了する笑顔で、信一は言った。
止まっていた時間が、動き出す……
滞っていた時が、再び流れ出す……
『悲しみの記憶』が、紐解かれようとしていた……
第六章「2つの再会」
――2001年1月7日、午前9時12分
「な、なんだ……?お前達、知り合いだったのか?」
「え、ええ……まぁ……」
いち早く気を取り直した担任の言葉に、和人は曖昧に笑いながら頷いた。
いつもの見慣れた微笑が、かすかではあるが少しだけ引きつっている。
「知り合いっていうよりは友人ですよ。中学が一緒だったんです。だから……ん〜4年ぶりの再会?」
未だ震える和人に代わって、信一がサラリと答える。
和人は、ただただ震えていた。
「おい叶…大丈夫か?」
小声で心配そうに訊ねる西川。しかし、彼の言葉は和人には届かなかった。
和人は、茫然と立ち尽くしたまま信一を驚愕の眼差しで見つめている。4年越しの感動の再会にしては、その反応はおかしかった。
そのことに気付き、薫が訝しげに眉根を寄せる。
西川も薫も、なんとか信一を見たときのショックからは立ち直ったらしい。
「ま、先生、そういった話は後にしましょう」
信一がはにかみながら言う。
その美しさに、担任教師は一瞬だけビクリとして、どもりながら、
「そ、そうだな……じゃ、じゃあ自己紹介を頼む」
「はい……このたび、進学の関係で転校してきた吉田信一です。昨日、この街に来たばかりでまだ至らないところ多分にあると思いますが、色々と教えてやってください。みなさんと一緒にこの学校にいる期間は3ヶ月と満たないかと思いますが、どうぞ、よろしくお願いします」
信一はいたって簡潔に自分のことを述べた。
物足りないとは、誰も思わない。その必要がないことを、みなは悟っていた。この人物は信頼できると、彼らは本能的に感じたのだ。
彼の見せる笑顔は、吉田信一という人物の人間性を十二分に表現していた。初対面の相手に、ここまで嘘のない笑顔を見せられる人物も珍しい。
「席は……うむ、知り合いのようだから、叶の隣りでいいだろ。吉田」
「はい」
担任の言葉に促され、信一は和人の隣りの席に座った。
和人もまた、浮かせていた腰を降ろす。
「改めてよろしくな、和人」
「……ああ」
差し出された右手をガッチリと掴んで、和人は微笑を浮かべた。震えはもうぴたりと収まっている。
いつにもまして、作られた笑みは完璧だった。
――2001年1月7日、午前10時37分
叶和人と吉田信一は小学校、中学校と常に一緒の学年、一緒のクラスで時を過ごしてきた、まさに腐れ縁といってもよい友人だった。
もっとも、当時から消極的で受動的な和人と、積極的で能動的な信一との間には、常にいさかいが絶えなかったという。しかしそれだけに、2人の意見が一致したときは誰も止めることができなかった。
2人が互いのことをライバルであり、親友と認め合ったのは2人が出会ってしばらく経ってからのことだった。その頃には、2人とも互いを下の名前で呼び合うほどには親しかった。
そんな2人の関係に転機が訪れるのは中学3年生も終わり頃。
和人が、家庭の事情から地元の高校ではなく、四十万市の……ようするに、燐道学園に通わなければいけなくなり、転校しなければならなくなってしまったのである。
かくして、和人は四十万市に引っ越してきた。
初めは盛んだった手紙のやりとりも、時が経つに連れ2人は疎遠になっていった。
それからしばらくが経って、高校3年も終わりに近づいた今日、今度は信一が、進学の都合上四十万市に引っ越してきたというわけである。
40分にもおよぶ始業式を終えて教室に戻ってきた途端、クラスメイト達から質問を受けた信一は、クラスメイト達に自分と和人の関係についてそう説明した。
それ以外にも、信一は答えられる範囲でそれらの質問にすべて答えていった。
ひとつひとつの質問に丁寧に答える信一に、クラスメイト達は早くも好感を抱いた。
担任の教師がHRを終えても、質問責めは続いた。
やっと信一が解放された頃には、授業が終わって10分が経過していた。
「若いモンは体力があるのぉ〜」
「まったくだよ。ううん、体力というか、活力がある」
廊下を歩きながら呟く信一に、和人は苦笑を浮かべた。校舎内にも関わらず、しっかりとロングコートを羽織っている。
「それよりも、さっきから俺達は何処に向ってるんだ?」
和人達は今、3年生の教室棟である東館を抜けて2年生の北館の廊下を歩いていた。まだ廊下にはたくさんの生徒がいる。
そんな中、和人と信一はとても目立っていた。
「……和人、さっきからこっちをチラチラ見られているような気がするんだが……」
「安心しろよ。気のせいじゃないから」
信一の問いに、和人はあきれたように曖昧な笑みを浮かべて答える。
当然であろう。
どちらかといえば美形の部類に入る和人と、ギリシア彫刻を彷彿とされる美の持ち主である信一が並んで歩いているのだ。
人目を惹かぬはずがない。
「そうか……やっぱ気のせいじゃなかったか」
「……それより、質問に答えてくれよ」
「ああ、すまない。いやな、1年の教室棟には加菜を待たせているんだ」
「……加菜ちゃんも来てたのか」
どこか懐かしむように呟く和人。
そんな和人に、信一は朗らかに笑いながら、
「当たり前だろ。加菜ひとりだけあっちに残しておくわけにもいかないからな」
バンバンと背中を叩いた。
信一の掌が背中に激突するたびに、背骨が軋む。
「……少しは手加減してくれ、馬鹿力」
「む……これは済まなかったな、軟弱者」
「…………」
「…………」
「相変わらずの毒舌ですねぇ」
「おやおや、ずいぶんな言いぐさですね。そんな、僕が敬語を使えないとでもお思いなのですか?」
「似合わないって」
苦笑を浮かべる和人。
すると、信一はむっとして、
「似合わないと言ったらお前の方だろう?一体なんなんだよ、その口調は?」
「……俺にだって色々あるんだよ」
「せめて、俺と2人でいる時ぐらいは普通に喋ってくれ」
「善処する」
――4年前、最後に会ったときと、まったくといっていいほど変わっていない信一に、和人は懐かしさを覚える。
否、和人の知らない空白の4年間の間に、たしかに信一は変わっていた。身長とか、外見とかだけでなく、人間的にも大きく変わっていたし、もっと根本的な何かも、良い意味で変化している。しかし、少なくとも、和人にとって目の前にいる吉田信一は、4年前に彼が友と呼んだ少年のままだった。
「……変わったな、和人」
不意に、信一が呟いた。
かすれるほどに小さな声だったが、和人の耳はそれを聞き逃さなかった。
「……俺は変わっちゃいないさ」
「いいや、変わったよ、お前は……はっきり言うようでなんだが、特に悪い意味で、な」
和人、動かしていた両足をぴたりと止め、信一へと向き直る。
身長176センチの和人が、身長190センチの信一と顔を見て話すには必然的に見上げる形になってしまう。これもまた、4年前そのままの光景だ。
そのことに、和人はどこか懐かしさを感じていたが、その表情は真剣だった。視線だけで、野生の兎さえも殺せそうな鋭さである。
だが、そんな視線と真っ向からぶつかり合ってなお、信一は微塵もたじろがない。
「……………………」
「……………………」
対峙する2人は無言だった。互いに、相手の一挙一動を見逃すまいとして、過剰なまでの集中をする。
しばらくの間、一触即発の空気が流れた。
しかしやがて、信一がほっと表情を緩める。
「今は止めよう」
“今は”という部分を強調して、信一は言った。
和人もそれに頷く。
気を取り直して歩き出すと、すぐに西館へと続く渡り廊下に入った。
和人が、ふと思い出したように口を開く。
「……そういえば、加菜ちゃんのクラスは何組なんだ?」
「1年2組だ」
「1−2……舞ちゃんと同じクラスか」
「舞?」
和人は信一に自分と舞の関係について噛み砕いて説明した。
説明を聞き終えた信一は、複雑な表情を浮かべ、
「……ゲームみたいな環境だな」
「……お前は普段、どんなゲームをしてるんだ?」
「ん〜〜〜普段は、ス○リート○ァイターとか、キ○グ・オブ・フ○イターズとか……まぁ、格ゲーがほとんどだな」
「……普段以外は?」
「とら○あんぐる○ートシリーズ……○姫……大○司……ダ・○ーポ……カ○ン……」
「全部エロゲーかよ……」
しかもこちらの方がラインナップが豊富である。
和人は呆れたように笑った。
そうこうしているうちに、2人は1年2組の教室の前まで来ていた。
まだHRが終わっていないのか、扉は固く閉ざされ、下級生達は窓ガラスから見える2人をチラチラと覗うように見ている。
そして、信一の顔を見た瞬間、彼らは男であっても、女であってもやはり時間が止まったかのように凍りつく。
和人は、その様子を苦笑しながら見ていた。
やがて、HRも終わり、担任の女性教師が出てくる。
彼女は、廊下で並んで立っていた最上級生を見て訝しげな顔をするも、愛想笑いを浮かべた信一と和人の前に轟沈し、ふらふらと立ち去っていった。
わらわらと教室から下級生が出てくる様子を信一と覗っていると、それぞれお目当ての人物が出てきた。
舞と、彼女に付き添うように後ろに着いている長身の少女。
「舞ちゃん」
「あ、お兄ちゃん!」
和人の姿を視界に捉えるなり、はにかんで彼の元へと舞は向う。
和人は微笑を浮かべながら彼女を受け入れた。
「今日も1日ご苦労様……どう?久々の学校は?」
「まだ授業始まってないからわかんないよ〜あ、それよりもお兄ちゃん!今日ね、舞達のクラスに転校生が来たんだよ」
「ほう……」
和人には、その転校生が誰なのか、すでに検討が着いていた。
というより、その人物は今、目の前にいる。
彼女は、和人の姿を捉えるなり大きく眼を見開いて驚愕の表情を浮かべていた。170センチ近いスラリとした長身が1歩、2歩と後ずさり、信一のそれと良く似た美しい顔が破顔する。
舞は彼女の方を向くと、15センチ以上はある身長差も気にせず、彼女の手を引っ張る。
歩くたびに、厚い制服の生地越しにも分かるほどたわわな胸が揺れていた。
「紹介するね、今日、舞達のクラスに転校してきた……」
「吉田加菜ちゃん……だろ?」
舞が言い終えるよりも先に、和人はにっこりと笑みを浮かべて言った。
途端、和人の声を聞いた少女……信一の妹、吉田加菜の目尻に大粒の涙が溜まっていく。
和人は本能的に、ヤバイと思った。即座に体勢を変えようとするが、理性でそれを抑える。
バッと、和人の視界で黒い影が跳び込むように動いた。
見かけよりも数段厚い和人の胸板に顔を埋め、加菜の体は震えていた。
恐怖からの震えではない。喜びの震えである。
「久しぶりだね、加菜ちゃん」
和人が優しく囁きかける。
身長差はほとんどないはずなのに、加菜は、ひとまわりも、ふたまわりも小さく見えた。
「お、おおおおお兄ちゃん!何しとりゃあすか!?」
「なんで微妙に名古屋弁に……?」
舞が慌てて声を張り上げ、信一が小首を傾げる。
大勢のギャラリーに見られていることに気付くと、加菜はばっと和人から離れた。
恥ずかしそうに俯き、赤面している。
「何って……再会を祝しての愛情表現?」
「素直に抱擁って言えばいいだろうが」
「いや、俺はまだ腕回してなかったし」
「やっていたらたたっ斬るぞ」
「か、勘弁してくれ」
わずかに殺気を放つ信一を宥める和人。
しかし、こんなことで誤魔化される舞ではない。
「お兄ちゃん!!」
「な、なに、舞ちゃん?」
「説明して!なんで加菜ちゃんのこと知ってるの?っていうかその隣りの美形は誰?ううん、そんなことよりも再会ってどういうこと?あたし名古屋弁なんて使った!?」
一気にまくし立てる舞に、和人は苦笑を浮かべながら、ひとつひとつに答えていく。
「舞ちゃんの質問に順番に答えていくと、まず、俺がなんで加菜ちゃんを知っているかってことに関しては知り合いだから、としか言いようがないんだけど」
「吉田さん、それ、ホント?」
「…………(コクコク)」
訝しげに訊ねる舞に、無言で頷く加菜。
「次に、この隣りの美形は……」
「おい和人、俺は美形なんかじゃないぞ。そこんとこ、間違えるな」
「……素で言ってるんだよな?」
「?当然だろうが」
「…………はぁ」
和人は思わず溜め息をついた。加菜はやはり無言で溜め息をつき、舞は驚いたように両目を大きく見開いている。
「……信一、お前の家に鏡はあるのか?」
「……兄さん……毎日……鏡見てる……」
「そうか……」
「お兄ちゃん、もしかしてこの人……」
「ああ……吉田信一。加菜ちゃんの兄で俺の友人……で、恐るべき愚鈍」
「愚鈍とはなんだ!愚鈍とは!?」
ギリシア彫刻を思わせる美貌が歪み、和人を糾弾する。目尻が吊り上り、唇が不愉快げな一文字を結ぶ。しかし、そんな歪んだ表情でさえ、信一が浮かべると絵になる。
普段、美形の部類に入る和人を見慣れている舞でさえ、それには思わず見とれてしまった。
「相変わらず……信一は知らぬところで堕としまくってるのね」
「……いつものこと」
「そっか」
「…………(コクリ)」
――4年前、信一と同時に袂を別けた少女の変わらぬ反応を見て、和人は不思議な郷愁にかられた。
なにもかもが、あのときのままである。
実直なまでに愚鈍な信一の態度も、無口ながらもどこか品のある、可憐な仕草をする加菜……和人が知っている、2人の姿が、すぐ手の届くところにあった。
まだ頬が紅潮している加菜が、小さく口を開く。
「……遅れた……」
「ん?」
「……挨拶……」
「ん、ああ……」
「……和人……おはよう……それから……久しぶり……」
「うん、おはよう、加菜ちゃん」
仮面でも、作ったものでもない、心からの笑顔を浮かべて、和人は応えた。
――2001年1月7日、午前10時52分
やがてフリーズしていた舞も元に戻って、4人は校舎を出た。
同じ兄として、妹としての“共感”とでも言うべき何かがあったのだろうか?4人はまったく対称的な人格であるにも関わらず、校舎を出る頃には意気投合していた。
「……牛肉……玉葱……青葱……椎茸……糸蒟蒻……」
「お〜〜〜今夜はすき焼きかぁ」
「しかも関西風だぞ」
「じゃぁ……こっちは関東風にしようか?」
「うにゅ…予算が……」
「む……」
無言で財布の中身を覗いてみる。
……昨日の今日である。和人の財布の中身は、かなりわびしかった。
隣りで舞が、「あはははは」と苦笑いを浮かべている。
和人は溜め息をついた。
「…………」
加菜が、財布の中を覗き見て何を思ったのか、和人の肩をぽんぽんと優しく叩く。
「苦労してるんだな」
信一が、財布の中を覗き見て何を思ったのか、和人の肩をバシバシと激しく叩く。
「加菜ちゃんはともかく……お前は止めろ、馬鹿力」
何度も何度も背骨に突き抜けるような衝撃が走り、和人が顔をしかめる。
しかし、不意にそれはやんだ。
あまりにも不意のことだったので、和人は思わず信一の顔を見上げた。信一が、大きく眼を見開いて前を見ている。
和人は、反射的に信一の視線の先を見るよりも、舞と加菜の方へと視線をやった。
「加菜ちゃん、どうしたの?」
舞が、心配そうに加菜を見上げている。
加菜もまた、信一と同じように驚愕の表情を浮かべていた。
しかし、先ほど和人と再会したとき見せていた感動はまったくない。むしろ、その表情には恐怖の色すらある。
和人は、そこまで確認して、ようやく2人の視線の先を追った。
4人がいる位置から、10メートルほど離れた校門に3人の、生徒の姿が見える。
3人は、和人のよく知った人物だった。
西川と、薫と、そして……
“ドクンッ!”
一回だけ、心臓が大きく跳ね上がった。その姿を視界に捉えた瞬間、和人の表情が、苦痛に歪む。
「…………馬鹿な」
信一が、震える声で呟いた。
目の前にある現実を、必死に否定しているかのように、呟いた。
信一が、予備動作なしで駆け出した。
和人がはっとして、信一の後を追う。
西川達が、和人達の存在に気がついて振り向いた。
薫と、3人目の“彼女”もまた振り返る。
信一が、3人から2メートルほど距離を隔てた所で立ち止まった。コンマ数秒の後、和人もその位置で立ち止まる。
3人目の“彼女”の顔を間近で見て、信一の表情がさらに驚愕へと染まる。
和人は、そんな信一を心配そうに見ながら、“彼女”からは眼をそらしていた。
「まさか……そんな……」
足音が聞こえて、舞と加菜が並ぶ。
加菜はやはり信一と同じように驚愕の表情を浮かべ、舞は何が起こっているのか分からない状況だった。
無論、西川も、薫も、当事者である“彼女”すら、何故、信一と加菜がそんな表情を浮かべているのか、分からなかった。それ以前に、“彼女”はまだ信一と加菜の名前すら知らない。
“彼女”は、信一の傍らに和人がいることを確認すると、ぷいと不愉快そうにそっぽを向いた。
「…………静流……なのか……?」
信一が、茫然としながら呟いた。
その言葉に呼応するかのように風が吹いて、“彼女”……城原愛歌の長い黒髪が揺れた。
章末詳細資料
――自衛隊@〜その歴史〜――
自衛隊の階級
幹部(旧軍の将校に相当) |
陸 |
海 |
空 |
捕捉説明 |
陸将 |
海将 |
空将 |
統合幕僚会議議長及び各隊の幕僚長に就いた場合の階級。旧軍の大将に相当 |
|
陸将 |
海将 |
空将 |
上記と名称は変わらず。中将に相当 |
|
陸将補 |
海将補 |
空将補 |
少将に相当 |
|
一等陸佐 |
一等海佐 |
一等空佐 |
大佐に相当 |
|
二等陸佐 |
二等海佐 |
二等空佐 |
中佐に相当 |
|
三等陸佐 |
三等海佐 |
三等空佐 |
少佐に相当 |
|
一等陸尉 |
一等海尉 |
一等空尉 |
大尉に相当 |
|
二等陸尉 |
二等海尉 |
二等空尉 |
中尉に相当 |
|
三等陸尉 |
三等海尉 |
三等空尉 |
少尉に相当 |
|
准陸尉 |
准海尉 |
准空尉 |
准尉に相当。一般隊員の最高階級。ここから、幹部自衛官となる。 |
|
曹(下士官に相当) |
陸曹長 |
海曹長 |
空曹長 |
曹長に相当 |
一等陸曹 |
一等海曹 |
一等空曹 |
軍曹に相当 |
|
二等陸曹 |
二等海曹 |
二等空曹 |
伍長に相当 |
|
三等陸曹 |
三等海曹 |
三等空曹 |
兵長に相当 |
|
士(兵に相当) |
陸士長 |
海士長 |
空士長 |
上等兵に相当 |
一等陸士 |
一等海士 |
一等空士 |
一等兵に相当 |
|
二等陸士 |
二等海士 |
二等空士 |
二等兵に相当。一般的に自衛隊に入るということは、二士への任官を意味する。 |
|
三等陸士 |
三等海士 |
三等空士 |
自衛隊生徒。中卒で入学できる四年制の学校で在学中に昇進すると、卒業後に三曹として部隊に配属される |
信一「これはどういうことだ?」
タハ乱暴「ん?何が?」
信一「タイトルが変わっているだろうがッ!?」
タハ乱暴「ああ、それね。いや、考えてみたんだけどさ、前回のチヌークとか前々回のコブラは武器というより兵器だからさ。コブラだけだったら武器といってもいいけど、民間にまで出回っているチヌークを含めると、兵器になっちゃう」
信一「それで?」
タハ乱暴「かといって兵器解説だったら俺が単なる軍事系オタクだと思われる可能性がかなり高い。それにそのタイトルだと色々と制約も多いからな」
信一「安心しろ。もう思われている」
タハ乱暴「……でだ、今回から『古代種』に関する設定を武器にかぎらず色々と紹介していこうと思ってな」
信一「だから、タイトルを変えたのか……で、第一回が『自衛隊』と」
タハ乱暴「正確には『自衛隊@〜その歴史〜』なんだけど……ま、とりあえずやってくれよ」
信一「……はぁ、分かったよ。
1949年、終戦後5年足らずで、日本国内は下山事件、三鷹事件、松川事件と、様々な問題を抱えていた。また、それは国内だけに留まらず、北大西洋条約機構(NATO)の発足、ソ連の原爆所有の公表、中華人民共和国成立と、様々な国際問題の渦中にいた。
そして1950年、第二時大戦の影響で戦争に対してアレルギーを持ってしまった日本人にとって、耐え難い事件が起きる。時に1950年6月25日、冷戦の始まった世界が初めて体験した『熱い戦争』……朝鮮戦争が勃発する。万が一、朝鮮民主主義人民共和国が大韓民国に勝利した場合、抵抗力のねぇ日本に、社会主義思想が浸透するのは必至。事態を重く見たGHQのマッカーサー元帥は、7月8日、ついに総員7万5千名の警察予備隊を創設する。また、これに便乗する形で海上保安庁8000名を増員。8月10日、ついに警察予備隊令が公布、施行された。
歴史は繰り返される。核という強力な兵器の出現は軍を魅了し、1952年には英国が原爆実験を、同年11月には米国が水爆実験を行った。
各国が軍備を強化していく中、日本も国防という名の下に軍備を増強していきやがった。4月には海上保安庁に海上警備隊が発足され、8月の頭には保安庁が設置され、その中に警備隊が発足された。10月には警察予備隊も保安隊と改名された。翌年には武器等製造法公布され、各国のものと比べれば大人しいが、国内での武器の製造が開始された。
1954年、日本は再び核の恐怖を知る。第五福竜丸事件が、起きたからだ。これを契機に全国で原水爆禁止運動が広まったが、彼らは、核にばかり目を向けていたのかもしれねぇな。気が付くと、防衛庁設置法、自衛隊法、MDA協定などに伴う秘密保護法が公布されていた。特にMSA協定は、日本は米国の援助を受ける変わりに自衛力の増強を義務付け、保安隊、海上警備隊を統合した、陸・海・空の『自衛隊』が発足する。
……と、ここまでが自衛隊発足の大まかな流れだな」
タハ乱暴「直接的に自衛隊が『古代種』という作品に関わる可能性は少ないが、間接的に出る可能性が高いので紹介してみました。
信一「……可能性?」
タハ乱暴「いやぁ、だってこれ、構想約5分、執筆時間20分の行き当たりばったりの話しだし……」
信一「……殺すか」
和人「手伝おう」
タハ乱暴「HAHAHAHAHA!和人君、その後ろにいるこわそ〜な人達は『打倒・タハ乱暴友の会』の皆さんかい?んん?」
和人「いや、陸上自衛隊中部方面隊第10師団の皆様だ」
タハ乱暴「なぜにッ!?」
和人「地元(タハ乱暴は愛知県民)の人達に殺されるのならば本望だろう?」
タハ乱暴「いやいやいや、本望じゃない!本望じゃないぞ!」
信一「じゃあ、希望?」
タハ乱暴「希望してないから……って、90式が来たぁっ!!」
和人「ちなみに説明すると90式というのは現在陸自が所有する主力戦車のことで……」
ドォンッ!ドォンッ!ドォンッ!
信一「た〜まや〜」
和人「か〜ぎや〜」
タハ乱暴「花火じゃないって!ぬぉぉぉぉぉぉおおおっ!!!」
た〜まや〜。
美姫 「か〜ぎや〜」
因みに、なぜ『たまや』、『かぎや』かと言うと、江戸時代の花火製造元に『鍵屋』というのがあったんだ。
美姫 「その鍵屋の番頭だったわよね、確か」
うん。多分。
美姫 「まあ、兎も角その番頭の清七っていう人が独立して『玉屋』という店を出したのよね」
玉屋と鍵屋は両国の川開き花火を分担する程になって、その時に「たまや〜」「かぎや〜」という観客たちの声援がその発祥。
美姫 「って言われてるわよね。因みに、その玉屋も鍵屋も今ではなくなってるのよね」
そうそう。玉屋は失火で江戸払いになって…。
美姫 「確か、天保13年、14年だっけ?」
うん、それぐらい。で、鍵屋は昭和までは続いてたのかな?
美姫 「こっちは経営不振よね、確か」
そんな感じ。まあ、兎も角この二つの店が掛け声の由来というか、そういう事。
美姫 「……って、相変わらず無駄な知識よね」
……ほっとけ。
って、本編に戻ろう。
最後に出てきた女性は一体。そして、信一が呟いたあの名前は。
美姫 「気になる、気になる〜」
次回が気になる〜。
美姫 「私の台詞を取るな!」
ぎげろぅぶろぉぱろぉ〜〜!
美姫 「それじゃあ、まったね〜」