『選ばれし黒衣の救世主』




私はずっと守られて生きてきた。
気がついたときには、目の前には大きな背中があって、その人はずっと私を守ってくれた。
これからも、その人は私を守り続けてくれる。
きっとその人は、これからも私のそばにいてくれる。
そう思っていた。
けど、大きくなって、それは無理だと気づき始めていた。
でも、この世界に来て、それは決定的なものになり始めていた。
私はあの人の後ろにいることはできても、隣に立つことはできないのだと思い始めていた。
だって、あの人は私の兄なんだから。
兄妹はずっと一緒にいられるかもしれない。けど、ずっとそばにいるものじゃない。
でも、つい最近は、それでもいいんじゃないかと思い始めている。
それでも一緒にいることはできるのだから。
そういうふうに思える。
暗くて重い気持ちは少しずつ消え始めている。
なぜなのだろう?
自分でもわからなかった。





第四章 指導? デート?





「ええっと、まだ十時……だよね。どうしよう、一時間半も早く来ちゃった上に、あと三十分もある」

学園の中庭で、そんなふうに独り言を呟きながらも、そわそわと身体を動かしている少女が一人いる。
救世主クラスの一人である当真未亜だった。

「うう、お兄ちゃん以外の男の人と二人で出かけるのも初めてだし」

そわそわしたり、ため息をついたりと忙しい。

「未亜」
「へ?」

そんな彼女に男の声がかかる。
未亜は声がした方に視線を向けた。

「き、恭也さん……」

そこにいたのは、やはりいつも通りに上から下まで真っ黒な服を着た男……高町恭也だった。

「もう来てたのか? すまない、待たせてしまったか?」
「い、いえ! 今来たばっかりです!」

嘘だった。
すでに一時間も待ち続けていたりした。

「約束は十時半だから、それでも早いのだが」

恭也は苦笑しながら言う。

「き、恭也さんも早く来てるじゃないですか」
「まあ、うちの家族からの教えでな。
 女性との約束があるときは、三十分は早く着くようにと言われている」

なぜかため息をつく恭也を、未亜は不思議そうに見る。

「とりあえず、少し早いが出ようか?」
「あ、はい、そうですね」

未亜は、恥ずかしげに恭也の左側について歩き出した。




さて、話は前日へと遡る。
未亜に勝利した恭也は、彼女に指導をしなくてはならないらしい。

「きょ〜や〜! 未亜に手ぇ出したら承知しねぇぞ!」

大河は、恭也に詰め寄ってそんなこと言う。とは言っても怒りとかは感じない。本気で言っているわけではなく、どちらかと言えばノリで言っているような感じである。
だが、自分がリコに勝ったら、あんなことやそんなことをしようとしていた、ということは棚に上げている。

「お兄ちゃんじゃないんだから、恭也さんはそんなことしないよ」

どうやら未亜本人のほうが、恭也を信頼しているらしい。もしくは、大河が本気で言っているわけではないことを理解しているのかもしれない。

「そんなことはしない」

恭也も憮然としながら答えた。

「しかし、指導と言われてもな」

恭也は少し考えてから口を開いた。

「確か明日は学校は休みだったな?」
「あ、はい。そうですよ」

恭也の質問にベリオが答える。
まだ恭也の授業は初日だったが、次の日には休日であったのだ。

「そうか。では未亜。明日、少し付き合ってくれないか?」
「はい。いいですけど、なにをするんですか?」
「いや、いきなりこちらに来たからな。服とか日用品が足りないんだ。
 生活に必要な金銭の方は学校から受け取っているからいいが、店がわからないから案内してほしいんだが」
「わかりました。
 でも、私もこっちに来て、まだそれほど経ってないんで詳しくはわからないですけど」
「買えればいいんだ。わからないなら二人で探せばいいしな」
「そうですね。
 待ち合わせと時間はどうします?」
「そうだな」

恭也は少しだけ考える。

「中庭に十時半でどうだろう?」
「私もそれでかまわないです」

とりあえず話をまとめていく二人。
そんな二人を、あんなことを言っていた大河がどこか生暖かく見守っている。

「それでは明日は頼む」
「はい」

恭也は、それだけを言い残すと闘技場から出ていった。

「未亜、成長したな。とうとう男とデートをすることになるとは」

大河はどこか嬉しそうに、それでいて寂しそうに言う。

「へ? デ、デート!?」

対して未亜は素っ頓狂な声を上げた。

「そ、そうじゃなくてただの買い物だよ」

顔を真っ赤にしながら、両手を振って否定してみせた。

「それを世間一般ではデートと言うんだよ」

大河は呆れたようにため息つく。

「まあ、いいんじゃないか。恭也ならそういう方面は安心できるし、いいヤツだと思うからな」
「だからそういうのじゃないってば〜」

未亜は色々と反論するが、大河はデートと繰り返すだけだった。
そんな兄妹をベリオはどこか微笑ましげに見ていた。




前日に、大河とそんなやり取りがあったため、未亜は恭也を意識しまくっているというわけである。
すでに二人は学園を出て町にまで来ていた。

「それで、どこに行きますか?」

未亜はなんとか緊張を隠して聞く。

「そうだな、まずは服屋とかから頼めるか?」
「服ですか?」

未亜は聞き返してから考える。
女性物であればそれなりに知っているが、男性物となると難しい。

「前にお兄ちゃんの服を買った場所があるんですけど、そこでいいですか?」
「いや、まあ、わからないからな。そのへんは任せる」
「はい。じゃあ、ついて来てください」

恭也は頷いて、未亜についていく。
歩きながらも、恭也は初めて見るアヴァターの建物や人々を眺めていた。

「建物の作りなんかは結構違うが、売ってるものなんかは俺たちの世界とそれほど変わらないんだな」
「そうですね。結局、世界は違っても住んでいるのは人ですから。そのへんは変わらないんじゃないんでしょうか」

未亜がそう返すと、恭也はなぜか考える仕草をとった。

「未亜」
「はい。なんですか?」
「言葉遣いなんだが」
「え?」
「別にそんな改まった言葉遣いじゃなくていいぞ。普通でいい。
 年は違うが、結局同じクラスなんだしな。大河に話しかけるみたいな感じでかまわない」

未亜は何を言われたのかよくわからなかったらしく、少しだけ目を瞬かせた。
 だが、すぐにその意味を理解する。

「あ……は……うん」

未亜が頷くと、恭也は少し笑う。
それを見て、彼女は顔を赤くさせた。




さて、そのころ大河は……。

「大河あぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

まるで雄叫びのような声とともに、大河の部屋のドアをブチ壊さんばかりに開けて進入してくる男が一人。
セルであった。

「セ、セル? どうしたんだ?」

さすがの大河も、その行動と鬼のような形相のセルに引き気味に聞いた。

「どどどどど、どうことだよ!?」

セルは大河に近寄り、その襟首を掴みガクガクと揺すりながら叫ぶ。

「いや、だからなにが!?」

大河は揺さぶられて、頭を動かしながらも問い返す。
セルも落ち着いてきたのか、大河から手を離した。

「なんで未亜さんが恭也とデートしてんだよ!?」
「って、何で知ってるんだ?」
「やっぱりデートなのか!? デートなんだな!
ぐおおおぉぉぉぉぉぉぉおおぉぉぉぉぉぉぉ! 俺だってまだ未亜さんと二人きりで出かけたことなんてねぇのにぃぃぃぃいいいぃぃぃぃぃ!!」

今度は滝のような涙を流し始めた。

「おまえ、少し落ち着け」

大河はセルの反応に顔を引きつらせていた。

「とりあえず何か見たのか?」
「あ、ああ。
俺、この前の門限を過ぎた罰で、今日は朝早くから先生に町へ買い物に行かされたんだ。そのとき確か九時半頃、中庭に未亜さんがいてさ。大方お前か委員長と待ち合わせでもしてるのかなって思ったんだよ。
それにしては凄いそわそわしてたけど」
「なんか、彼氏との初デートに緊張しているような女の子?」
「そうそう!」

「というか、あいつ少なくとも一時間近くも前に待ってたのか?」
「ん? 何か言ったか?」

小声であったため、セルには聞こえなかったらしい。
それに大河は少し安堵する。

「いやなんでもない」
「そうか。
 それで十時ぐらいに買い物終わって戻ったら、まだ未亜さんがいたんだよ。これはもう話しかけるしかないと思ったら……」
「恭也が来た?」
「ああ。それになんか、未亜さんが恥ずかしげについていくみたいな感じで!」

セルの説明が終わって、大河は腕を組む。

「で? それが?」
「それがって……いや、だからデートなのか!?」
「デートと言えばデートだし、違うと言えば違うか?」
「どっちだよ!?」
「まあ落ち着け」

大河はセルの肩を叩きながら落ち着かせようとするが、その効果はあまりなかった。
それがわかって、大河はため息をつき、昨日のことを説明した。

「指導?」
「ああ。とりあえず日用品やらがほしいから、町の案内を未亜に頼んだんだよ」

大河はこれで安心するだろうと思いつつ、疲れた表情でセルを見ていた。
 だが、セルは顔を青くさせていく。

「ま、まずい! 早く未亜さんを救出せねば恭也の毒牙に!」

余計に興奮させてしまった。

「指導ってことは今日一日、未亜さんにナニしてもいいってことじゃねぇか!」
「今、何か発言がおかしくなかったか? そっち方面に直結か?
 というかもしかして、端から見てると俺もこんな感じでみんなに見られてる?」

まさに他人の振りみて我が振り直せ、と言った感じである。もっとも、大河が直すわけがないないのだが。

「はあ。セル、落ち着けって。この台詞を何回言わせる気だ。
一昨日の恭也の説教、お前だって受けただろう?
あんなことを言う男が、簡単に女とそんな関係になるわけないだろ?」

一昨日のあの説教があり、なんとなくではあるが、恭也の人となりがわかっているために、大河はそれほど心配していなかった。
でなければ未亜を男に任せようなどとは思わない。
多少寂しい気持ち……どこか、娘を嫁にやるような心境でもあるが、いつまでも未亜を自分に縛り付けるものではない、と最近では思い始めていた。
無論、未亜をこれからも守っていくつもりだが、いつまで自分がそばいられるかなどわからない。
こういう心境に至ったのも、このアヴァターという世界に来てからだったが。

「しかし、男は皆、狼!」
「うむ、それは否定しない。
だけど、俺は恭也を信用してるし、お互い合意の上でならいいさ」
「お、おまえ、未亜さんが心配じゃないのか?」
「心配に決まってるだろ。
だけど、兄貴の俺がいつまでも未亜を縛り付けるわけにはいかないし、未亜が幸せになれるならそれでいいさ。
もちろん、その相手がお前でもな」
「お義兄さん!」
「気が早い。
今のところ恭也の方が一歩リードだと思うぞ。未亜の心情的にもな」

長いこと未亜の兄をしていたからこそわかる。
未亜は、この二日で少しずつではあるが、恭也に心を開いてきている。
 あの忌まわしい過去のトラウマもあるのだろうが、今まで男とはそれなりに距離を置いていた未亜がだ。
大河としては、それだけでも恭也を信用するには十分だった。

「くっ、ここは俺もデートに誘わなければ!」
「ま、がんばれや。
けど、未亜を泣かせたらただじゃおかねぇぞ、お前も、恭也もな」
「任せろ!」

セルの今までとは反対の笑顔を見て、なんとなくため息をつく。

「さてと、俺も行かないとな」
「ん? どこか行くのか?」
「リコの指導……」

大河はげんなりとした表情で返す。

「なにリコさんに!?」
「リコにじゃない、リコが俺にだ」
「負けたのか?」
「ああ」

力無く答える。

「何させられるんだ?」
「知らない。昼になったら食堂に来いだとさ。
はあ、もしどっかの昼飯代を全て払えとか言われたらどうすっかな。食堂のなら免除だけど」

オゴリにでもなったら間違いなく破産。

「まあ、がんばれよ」

セルはそう言いつつ、大河の肩を叩く。

「おお」

大河はフラフラと手を振り、セルとともに自らの部屋を出た。




「恭也さん……」

未亜は横目で恭也を見つめる。

「黒以外の服着ないの?」

何とか口調の方は、大河と話すような感じに切り替えることができていた。
最初はかなり緊張したが。

「む、まあな。昔からいつも黒ばかり着ていたし、他の色だと落ち着かないんだ。
 妹も同じようなものだしな」

未亜は後半の返答に反応する。

「恭也さんって妹がいるんだ?」

女の子の扱い方からして、なんとなくそんな気はしていたが。

「ああ。妹が二人と妹的存在が二人、姉的存在が一人いる」
「妹……的? 姉的?」

未亜は、恭也の返答に困惑するが、恭也は苦笑を返すだけだった。
もう少し聞きたいところではあったが、あまり質問しすぎるのもどうかと思って、そこでやめておいた。

「それより、未亜はこれだけでいいのか?」
「え?」

恭也は、未亜が買った服が入った紙袋も持っている。
 それを掲げてみせた。
ちなみに、ほとんど恭也に意見を聞いて買ったものだったりする。

「これでも買いすぎたぐらい」

 今まであまりわがままを言えるような境遇ではなかったので、これだけの服をいっぺんに買うこと自体、未亜には珍しいことだった。

「そうか、ならいいんだが」

 恭也は紙袋を降ろして頷く。

「しかし、もう昼時だな。何か買って食べるか?」
「そうだね。私も少しお腹空いたかも」

ここに来るまでの途中、いくつか食べ物を売っている露店を見つけていた。
二人は露店でいくつかの食べ物を買う。
 そして、やはり先ほど見つけた近くの公園まで移動し、ベンチに座って食べ始めた。

「ふむ、なかなかだな」

恭也はホットドックを食べていた。

「しかし、こっちの世界と俺たちの世界だと、どっちが早くこれが出たんだろうな」

と、恭也はそんなことを言ってくる。

「どうなんでだろうね」

未亜も律儀にそう返す。

「だが、いつか和食が恋しくなりそうだ」
「それは確かに」

 この世界には和食というのはあまりなかった。あったとしても、和食に近いだけで、和食とは言い切れない味がするものばかりであったのだ。

「でも、おいしそうだね、それ」
「食べるか?」
「うん。一口ちょうだい」

恭也がホットドックを未亜の口に持っていく。彼女は何の躊躇もなく、それにかじりつき、あむあむと租借する。

「ホントだ。露店にしては美味しい」
「そうだろう?」
「うん。
あ、恭也さんもこれ食べる?」

自分が食べているサンドイッチを指さして言う。
恭也は軽く頷く。
 それを確認すると、恭也がしたように口元へと持っていく。彼はそれにかじりついた。

「これもうまいな」
「でしょ?」

未亜は自然と笑顔でそう言った。
恭也も笑って頷く。
そして、はたと気づいた。
 口調を変えたせいか、態度や接し方まで、大河を相手にしているような感じになってしまっていたが、これは間接キスだと。
しかもこの状況は、彼女がたまに読む恋愛小説や漫画にあるシーンと酷似している状況である。それを認識して、彼女は顔を再び真っ赤にさせた。
もっとも恭也は気づいていないようだが。

「どうかしたのか?」
「な、なんでもないよ!」
「そ、そうか」

恭也は納得しているのかいないのかわからないが、残ったホットドックにかぶりつく。 未亜も、自分の顔が赤くなっていることを意識しつつも、残りのサンドイッチを片づけていった。




あのあと、未亜は知る限りの町の色々なところを彼に案内した。
 そんな中で色んな話をした。 
 話題を振るのはもっぱら未亜であったが、それでもその話を真剣に聞いてくれていた。
 彼はどこか聞き上手にも思えた。
 兄の大河とは違う男。
だけどなんと言っていいのかわからないが、彼と一緒にいるのは楽しかった。
 そんなことを考えながら歩いていると、恭也は空を見上げる。

「そろそろ、戻るか、門限もあることだし」

もう太陽は夕日へと変化していた。

「あ、そうだね……」

今日という日が終わってしまうことが残念でならなかった。
そして、二人は学園に向けて歩き出す。
その途中、一つの露店があった。そこはアクセサリーなどを売っている露店。実際の装飾品の専門店に比べればどうということはないのだが、彼女は見たいと思った。
内心、そんな自分に驚いていたりもした。なぜなら、今までそんなアクセサリーになど、それほど目を奪われることなんてなかったのだから。まあ、どちらかというと立場的な理由ではあったが。

「見るか?」

恭也は、そんな未亜に気づき聞いてくる。

「いいの?」
「まあ、まだ門限まで時間があるしな」

恭也は少しだけ肩を竦めて言う。
未亜は頷くと、その露店の前に座る。
そして、一つ一つの装飾品を見ていく。その中で一つだけ、目を引くものがあった。それを手に取ってみる。

「お、あんたいい目してるね。そいつは今日入ったばかりの新作だよ」

その露店の主である男がそんなことを言ってくる。
未亜が手にとったのはネックレスだった。
銀のチェーンに青い水晶をあしらったもの。
すごく目が惹かれた。

「兄ちゃん、彼女さんに送ってあげたらどうだい?」

店主の言葉に恭也は苦笑し、未亜は真っ赤になる。だが、どちらもその言葉を否定しなかった。

「そうだな。店主、そいつをもらえるか?」
「え?」

驚く未亜をよそに、恭也はすでに金を店主に渡していた。
そして、ネックレスを受け取ると、未亜の手を引いてそこから離れる。
しばらく歩いてから、未亜に向き直る。

「首、出してくれ」
 
 未亜は困惑していたが、反射的に頭を前に出す。
 恭也は未亜の髪を少しだけ持ち上げて、首にネックレスをかける。

「え、あ、え?」

未亜はどういうことなのかわからずに目を瞬かせた。

「今日は一日付き合ってもらったからな。お礼だ」
「そ、それは指導で……」
「それでも感謝していることに変わりはない。だから、まあ、受け取ってくれ」

恭也は照れているのか、頬を少しだけ掻いて言った。

「あ、ありがとう」

未亜は今日一番の笑顔をみせた。
それを見て、恭也は薄く微笑んだ。
二人はどちらともなく、学園に向けて歩き出す。その間、お互い口を開くことはなかった。
 すぐに学園に着き、さらに寮の前に着く。

「そ、それじゃあ、私は部屋に戻るね」

未亜は慌てたように駆け出す。

「未亜!」

不意に恭也が彼女を呼んだ。
未亜は自然と足を止めていた。

「今日はありがとう」

恭也は夕日を背に微笑んでいた。それは、今までのように薄い笑顔ではあったが、今まで以上に優しそうな笑みで……。

「こちらこそ、ありがとう」

未亜も微笑んでそう言った。





恭也は未亜と別れると、すぐに自分の部屋へと向かっていた。
そして、その前に立ったときに気づく。

「誰かいる……」

自分の部屋に誰かがいる。
気配でそれがわかった。
鍵はかけていたはずである。
気配からして人数は三人。
敵意などは感じられないが、恭也は慎重にドアを開けた。

「あ、恭也君、おかえり〜」
「おかえり〜、おに〜ちゃん」
「お、恭也君、おかえり」
「くぅ〜ん」

中にいる三人……と一匹を見て、恭也は珍しく惚けた顔をして固まったのだった。




ちなみにそのころ大河は……。

「ぐう、まさか昼飯に付き合わされるとは、しかも同じ量を食えなんて。
大量に食事を食べる特訓って……。
も、もしてかして俺、リコに嫌われてるのか?」

腹を抱えて寝込んでいた。






あとがき

むー。
エリス「なに唸ってんの?」
今回の話これでよかったかどうか今更ながら悩んでる。
エリス「なんで?」
いや、未亜の大河への想いが軽いものじゃないのはデュエルをやればわかるのだが、それにしては簡単に恭也に心を開いてしまったというのが。とはいえ必要なことだったんだが。それでも展開的に早すぎたかなと。まあ、だから大河との話と迷ったわけだが。というか、その大河も実に物わかりのいい兄貴に。
エリス「今更どうしようもないでしょうが、それなら考えて書きなさいよ」
はい、精進します。まあ、未亜もまだ大河への比重の方が大きい状態で、気になるぐらいのものだし。
エリス「けど似たような展開で、大河とリリィの話も書いたの?」
そうだけど。
エリス「この展開を大河が……」
や、そのへんはちゃんと男と男の買い物に切り替えてるから。
まあ、それはいいとして、やっと次回からとらハキャラ登場だ!
エリス「一部……というか、ほとんどバレバレですけど、次回をお楽しみに」
次回もよろしくお願いします。



今回は未亜への指導〜。
美姫 「微笑ましい日常よね」
一応、指導なんだけれどな。
美姫 「さて、それよりも気になるのは、とらハキャラは誰が登場したのか、よね」
まあ、分かるのも居るし、分からないのも居るし。
美姫 「一体、誰がアヴァターに来たのか!?」
次回が非常に気になります。
美姫 「次回も楽しみに待っていますね〜」
待っています。



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